ABC アシッド映画館 ABC シネマ
HOME CINEMA LINER BBS PROFILE DATA MAIL

シネマライナー

フィクサー   08/04/05 放送

誰が印象に残ったって、
賞レースを離脱したジョージ・クルーニーでもなく、
助演女優賞を獲ったティルダ・スウィントンでもなく、
狂気の世界に入り込んでいくトム・ウィルキンソンだった。
この映画を考えて、まず思いつくのは助演男優賞部門だろう。
ところが、間の悪いことに、今回『ノーカントリー』があったため、
あのオカッパ頭の殺し屋が存在したため、彼の影は一気に薄くなってしまった。

その逆にティルダ・スウィントンは儲け役だったと思う。
横並びに強力な対抗馬もなく、なんとなく票が集まったって感じか・・・。
だって、彼女の見せ場はクライマックスのワンシーンのみ。
あそこの存在感だけでオスカーをかっさらっていった、みたいなものだ。

つくづく賞の行方ってのはタイミングなんだと思った。

薬害とか、企業倫理優先の世相とか、今という時代を描きつつ、
静かな熱血漢が正義を貫く姿を描く。
主人公の名前はマイケル・クレイトン。
《ややこしい名前や》
ちなみに小説家で有名なのはマイケル・クライトン。

監督はボーン・シリーズの脚本家として名を馳せたトニー・ギルロイ。
普通、脚本家とか原作者が監督業にしゃしゃり出てきたら悲惨な結果に
終わることが多いのに、彼の場合は処女作にしてなかなかの手腕。

ここではたと気づいた。
主人公の名前をマイケル・クレイトンにしたのは某小説家に対する
ブラックな当てつけではないだろうか・・・?




ヒットマン   08/04/05 放送

スキンヘッドにバーコードのタトゥーを入れられたヒットマン。
《知ってる奴がみたらヒットマンってバレバレやん》
こいつが世界を股にかけて要人を暗殺してきたという無茶苦茶な設定。
ただ、生身のアクションはカッコイイ、というか、美しい。

彼は子供の頃に組織に入れられ、純粋培養で殺し屋として育てられてきた。
いわゆる虎の穴状態。遊びとか青春とかまったく経験してこなかった。
そんな彼が敵を追いかける中でひとりの少女に出逢う。
彼女は敵に囲われ、あんなことも、こんなことも・・・させられてきた。
見た目以上にかなりの大人な女性である。

この2人の「対決」が面白い。

男前のヒットマンに彼女が素っ裸でモーションをかける。
彼は興味を示さず、シコシコと銃を磨いて知らんぷり。
が、そこには明らかに、女性に不慣れで、どう対処していいか分からず
とにかく銃を磨いて誤魔化そうとする彼の姿があった。
《お前、童貞やろ?》
女性に対してまったく免疫のない彼の様子に純愛とか、初恋とか、
美しい感情を込めようとしたシーンなんだろうが、妙に笑える。
《お前、そんなんでよく世界を股にかけて生き残ってこられたなぁ》
相手が女ヒットマンだったら彼は秒殺されていたんじゃないだろうか・・・。

ヒットマンと言うよりチェリーマンである。




うた魂   08/04/05 放送

自信たっぷりのヒロイン像に鳥居睦子の幼少時を見た気がした。

気になるのは不思議なキャスティング。
ガレッジセールのゴリがライバル校のリーダー役で登場するのはもちろん、
生徒全員がオッサンなのである。何らかの意図があってのことなんだろうが、
笑わすわけでもなく、深みがあるわけでもなく・・・うーん、この狙いが
イマイチ理解できない。
そしてフルチン、フルチンという台詞を女の子に連呼させるシーンに
いたっては笑いを生むどころか、悪趣味を通り越した演出。
笑って泣ける日本映画の路線にもそろそろ限界が出てきたんじゃないか。