ティーンエイジ・ラプソディーズ /第三回
原作/関根友実
脚本/広瀬弥生
演出/森脇義次
作画/かすみゆう






出 演
坂本夏樹…橋詰優子
坂本月太郎…赤江珠緒
結城美咲…山本モナ
常盤翔太…長嶋賢一朗
菊池善夫…柴田 博
三宅玲子…加藤明子
藤本卓也…清水次郎
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テーマ音楽。

夏樹「(独白)結局、美咲とお父ちゃんに丸め込まれる形で、野球部に入部することになってしまった。常盤翔太と同じクラブなんて、冗談じゃない。先が思いやられるなぁ……」

藤本「……男子の新入部員は以上や。次は女子マネージャーの新入部員を紹介する。聖林野球部初の女子マネだぞ。じゃあ、君から……」

美咲「1年C組の結城美咲です。頑張りますのでよろしくおねがいしまーす」

夏樹「あ、同じく、1年C組の坂本夏樹です」

藤本「よし、これから全員で頑張っていこうな。まずは打倒、ライバルの暁星高校、そして目指すは甲子園だ!」

玲子「ほらほら、監督がまた熱くなってきたわよ! 皆、早く練習始めましょ!」

「お願いします!」と練習に散る選手達。



善夫「確か席替えやってくれた子やな。俺も同じクラスや」

夏樹「え、ええと……」

善夫「俺は菊池善夫。キャッチャーやってる」

美咲「よろしく!」

翔太「善夫、練習行こか」

善夫「お、翔太、この子ら、俺らと同じクラスだって」

翔太「知ってる。隣同士の席やもんな。ふふふ……」

夏樹「な、何よ」

翔太「俺に気ィあるんとちゃうか? 野球部まで追っかけてくるなんて」

夏樹「な、な、何言ってんのよ!」

善夫「まあ、まあ、坂本さん。こいつ昔から口が悪いんだ。かんべんしたって」

美咲「菊池君は、前から常盤君と仲ええの?」

善夫「ああ、小学校の時から翔太がピッチャーで俺がキャッチャーしてた。古臭い言い方だけど、俺は翔太の女房役みたいなもんさ」

夏樹「うわー、性格悪いの移るわよ」

翔太「おまえにも移したろか? 手取り足取り」

夏樹「ぎゃーっ! やめてっ!」

翔太「ははは! 善夫、先行って走ってるで!」

夏樹「何よ! 馬鹿にして!!」

美咲「走ってくるって、ピッチャーやなのに、投げる練習はせえへんの?」

善夫「ああ、ピッチャーって、ほかのどのポジションよりも走り込みが必要なんだ。投げ込むより前に、走って走って腰を鍛えて安定感をつけなきゃあかん。誰よりも地味な練習を積まなきゃ駄目なんだ。翔太は昔からずっと、人一倍努力してるんだ」

美咲「ふーん」

善夫「少しは翔太のこと見直した?」

美咲「ちゃうねん、菊池君て、ほんまに翔太君の女房役なんやなあ思て……」

善夫「へ? いや、そんな……照れるなあ……」

夏樹「やっぱり、皆、甲子園を目指してるわけ?」

善夫「そりゃあ、もちろん! 俺らの夢や、甲子園は。この言葉は、独特の響きを持ってるんや」

美咲「で、どうなん? われらが聖林高校は?」

善夫「う〜ん、まず、暁星高校を倒さんと無理だな」

美咲「暁星高校?」

善夫「ここんとこ続けて大阪代表で甲子園に出場している高校。あそこ倒さないと、まず甲子園は無理だな」

美咲「夏樹、確か暁星って、智也君が通ってる学校と違う? そうやわ! 智也君も野球やってるはずよ!」

善夫「智也って、もしかして竹下智也のこと?」

夏樹「え? 菊池君、智也君のこと知ってるの?」

善夫「知ってるも何も、竹下って、ジュニアリーグ、シニアリーグと、ずーっと翔太の最大のライバルだったやつだ……。君らこそ何で知ってるの?」

美咲「うん、智也君て、私らと同じ小学校やったんよ」

善夫「ふぅん、そうやったんか……。それだったら、癖とか、いろいろ情報教えてもらわな」

夏樹「え? 情報って……」

善夫「じゃ、俺も練習行くから」

夏樹「あ、菊池君。……行っちゃった」

美咲「ねえねえ、たしか智也君は小学校の頃、夏樹のことが好きだったんだよね?」

夏樹「もう、やめてよ。すごーく昔の話やん。それにあの頃の好きって、ままごとみたいなもんやし……」

美咲「常盤翔太と竹下智也、二人の若者が、夏樹を巡って熱い戦いを繰り広げるのね……。素敵やんかー」

夏樹「美咲って、ほんとに頭ん中、恋愛のことしかないんちゃう?」

玲子「ほら、あんたたち! おしゃべりはあとあと。もうマネージャーなんだからね。ばりばり働いてもらうわよ。やることは、たーっぷりあるからね!ボールを磨いたり、スポーツドリンク作ったり、玉拾いもあるし……。あとは豚箱状態の部室の掃除!」

夏樹・美咲「ぎゃー!!!」

玲子「とりあえず、バッティング練習の球拾いからよ! レッツ・ゴー!!」

バッティング練習風景。

部員「ライト、ライトー!! いったぞー!」

美咲「(息切らし)はあ、はあ……玉拾いて……こんなに走らなあかんもんなん……」

夏樹「(息切らし)はあ、はあ……美咲……ええダイエットになるやん……」

美咲「ふう、ふう……それにしても、常盤君はまだ走ってるで……。外野を行ったり来たり……よう飽きへんな。あ、こっちに来よる」

翔太「二人ともえらいバテようやな。鍛え方が足らんのとちゃうか(笑い)」

夏樹「あんたこそ、息一つ切らしてないなんて、ちゃんと走ってへんのとちゃう」

鋭い金属バットの音。

部員「ライト、いったで! ボール! ボール! 上! うえー!!」

翔太「坂本! 危ない!!」

夏樹「キャー!!」



翔太「いってぇ……」

美咲「常盤くん!!」

夏樹「やだっ、大丈夫!?」

翔太「いつつ……ちょっとボールが背中に当たっただけや。平気や」

夏樹「せやけど……」

翔太「(痛そうに)心配いらんて」

夏樹「ちょっと……背中見せて!」

翔太「うわっ、坂本、何すんねん!」

美咲「キャ! 裸に……夏樹、大胆……」

夏樹「ほら、背中、痣になってる。これ絶対冷したほうがええよ」

藤本「こらー! 外野! ボーッとしてるんじゃないぞ! 集中せんとケガするぞー!大会、近いんだぞー!!」

翔太・夏樹・美咲「す、すんませーん!」

美咲「怒られてしもた……」

夏樹「ごめん。私のために……」

翔太「き、気にすんな。ほな、俺、ベンチで背中冷やしてもらってくるから」

商店街の風景。



美咲「いやー、しかしくたびれたー」

夏樹「ほんま。体もつかなあ……」

美咲「それにしても常盤くん、カッコ良かったなあ。夏樹のこと、さっとかばってさ」

夏樹「う、運動神経は、さすがにええみたいやね……」

月太郎「姉ちゃ〜ん! 姉ちゃ〜ん!」

夏樹「月ちゃんやないの? 今、小学校の帰りなんか? えらい遅いやん」

月太郎「うん。弁論大会の練習しててん」

夏樹「そういえば、近畿弁論大会、もうすぐやったなあ」

美咲「え? 近畿大会って……ほんなら大阪代表で出るのん? すごいやん月ちゃん!」

自転車のベル。

美咲「あ、常盤君」

翔太「おまえらか。通行妨害やぞ」

夏樹「残念でした。ここは歩行者優先やの」

月太郎「あのー」

翔太「ん? 誰や、この子供」

月太郎「僕は坂本夏樹の一番下の弟で、月太郎と申します。いつも姉がお世話になっております」

翔太「へえ、姉に似ず、よく出来た弟やな」

夏樹「うるさいなぁ。さっさと行ったら?」

美咲「ちょっと、夏樹。常盤くんは命の恩人やないの」

夏樹「うっ、せやけど……」

翔太「ほんま、どんくさいねんから。おまえの側におったら危なてしゃあないわ」

美咲「な、何をー!」

月太郎「ちょっとすんません。姉ちゃんの命の恩人て、どういうことですか?」

美咲「このお兄ちゃんが、飛んできたボールから夏樹を守ってくれたんよ」

月太郎「それはそれは……。本当にありがとうございました。そうだ、ぜひともうちの店でお好み焼きを食べて行ってください」

翔太「おう、ありがとうな、よく出来た弟! また、今度な!」

月太郎「素敵な青年ですね」

夏樹「どこが!!」

夏樹「(独白)美咲の陰謀で渋々引き受けた野球部のマネージャー。予想をはるかに越えるハードな部活。おまけに、あいつに借りまで作ってしまった。これから先が思いやられるよお〜」

つづく



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