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〜今週のよもやま噺は、桂ざこばさんをお迎えしてお送りします。〜
米朝  この間、年を誰かに聞いてビックリしたんやけど、もう...
ざこば  9月に誕生日が来て59(歳)ですわ。
米朝  な〜、60近いんやな。
ざこば  僕もビックリしまっせ。15(歳)でっせ、僕師匠のとこへ寄せてもろうたのが。
聞き手  入門されたのが15歳。で、今年59歳。
ざこば  どないなっとんのや。師匠は81だっせ、今度。自分だけ年取らんように思うて...
米朝  いや80(歳)まで生きるとは思わなんだ。この前もつくづく考えてな、よう持ってるな思うてな(笑)
聞き手  よう持ってるどころじゃないですよね。タバコもお吸いなるし、お酒もお相手が気に入ったらお飲みになるし。
ざこば  この間、枝雀兄さんの奥さんの志代子姉さん。お医者はんに聞いたらしいですわ、名前言わんとね、僕のことと師匠のことですわ。「実は今年81になる人ともうじき60になる2人の男性がいてます。これが毎日タバコ吸うて、毎日酒飲んで、毎日お茶を、この二人は好きなんです。それで元気なんです。これはやっぱりお茶が原因なんでしょうか」と言うたら医者が、「それはまれな方や」言うて...
二人  (大笑)
聞き手  でも体調が悪いからタバコを慎もう、お酒を慎もうと思われたことはご両人ともないんですか?
米朝  あんまりないね。(笑)あのね、ちょっと酒がいかんのかなと思ったことはいっぺんだけあった。でも止めはせなんだけどね...
聞き手  思っただけで。
米朝  はい、思うただけで。
ざこば  僕もね、昼間は飲まんのでね、夕方5時半ぐらいから6時になったら飲むわけですわ。「せやけどここんとこずっと抜いてないな〜。よし、今日は抜こう」と思うわけですよ。で8時になって9時になって、「あっ、もうええ、寝よ」と言うて寝間に入るでしょ、寝られへん。「かぁ〜、もう飲め!!!!!!!!!!!!!!!」思うて9時過ぎから飲み出すん。「しもたぁ〜、6時から飲んどきゃ良かった」。(と思ってね)9時から12時ぐらいまで飲まなあかんでしょ。6時からやったら9時には終わってんねん。それで寝れてんねん。
米朝  やっぱり寝るタイミングというのがある。そうやって計算して飲んだことがないからな。飲みたかったら飲むというより、相手があったら飲むねん、俺は。
聞き手  米朝師匠とざこばさんやったらいいお相手で...
米朝  それがこの頃一緒に飲んだことがないねん。
ざこば  そうですね、「ちょっと行きましょか」というのが何ヶ月にいっぺんぐらいでしょ。
米朝  本当にそうやねん。あれが欲しいとか言うのは、ない?
ざこば  あて(肴)ですか?ちりめんじゃこ、鰹節、シャケ。ろくなもん食うてまへんわ。
米朝  イヤイヤ、それがええねん、本当は。贅沢なもんを前へ並べるのはいかん。
ざこば  はぁ〜(笑)
聞き手  (笑)
米朝  もうどうしても食べる方に神経がいってしまうやろ。
聞き手  米朝師匠はこれがという肴は?
米朝  それはない。何かなかったら困るけどな。
ざこば  漬け物に鰹節、バッとかけて、グワッと...
聞き手  その時は日本酒ですか?
ざこば  焼酎...今は泡盛かな。皆ね日本酒片付いてもうて、この頃ブームやから焼酎ばっかりくるわけですわ。焼酎プラス泡盛もくるわけですわ。泡盛は45度とか40でしょ。こりゃあかんと思うて、20〜25度の焼酎を飲むわけですわ。ほな40度とか残ってきて、20度とか減っていきよる。この間、25度とかが無いねん。見たら泡盛や、「45度きついの〜」と思いながら飲んだら、美味いんですよ。
二人  (大笑)
米朝  いや、うちに男の子が3人いてるわ。小米朝は別にして後の双子な、困るのはこっちがもうぼちぼち(呑み終わろうか)と思う自分にやっと向こうが調子が上がってくるねん。
ざこば  あ〜、なるほど、ちょっとずれが...沢山あるんですな。
米朝  こっちが「飲めや」言うて引っ張っといてやで、こっちから「止め」言いにくい。
ざこば  (大笑)そりゃそうですがな。

聞き手  米朝師匠は日本酒ですね、ほとんど。
米朝  そうやね、でこの頃、ウィスキーの水割りね、自分から進んで飲まんようになったな。出されたり、そういう席に行ったら飲むけどね。なんでやろ、冷たいさかいやろか。温なったらまた違うんかな。
ざこば  行きはる場所が変わったんや思いますわ。バーとかクラブとかやから、そこで日本酒というのは。
米朝  時間かけて飲むときはやっぱり日本酒やな。
ざこば  旨い、思うて飲んではるんですか?
米朝  だんだん旨なってくるな。
ざこば  ほ〜〜〜〜〜〜。僕、旨い思うてあんまり飲みまへんねん、酔うために飲んでんねん。せやから、上等やなしに一番安いんでええねん僕は。うらやましいわぁ、「おいしい」思えはるのは。
米朝  そりゃ日本酒やな、やっぱり。ウィスキーでこっちは上等の、こっちは大衆向きのとなってても、ええ方でも感激せえへん。日本酒の旨いの飲んだら「なんやねん、銘柄は」となる。
ざこば  ほっほほ〜〜〜。

聞き手  ざこばさんが入門されたときは、米朝師匠は家で晩酌されたりするわけでしょ。どこかで一緒にお呼ばれとかあるわけでしょ。ざこばさんから見はって「こんな上等なとこで飲めるんか」と思っとことは...
米朝  そりゃ上等なとこに行ったらな、「こんなとこで飲むの初めてやとか」言うたこともありました。
ざこば  そりゃお座敷とか、料亭とか...。だいいち内弟子に入ったの15(歳)やからそんなとこ今まで知らんもん。河豚も食べたことないし、ステーキはあったかな。食べてないの仰山ありますよ。小米なんかでもそうですね、ハンバーグなんか噺家になって初めて食うたんですもん。
聞き手  小米さんって鳥取(出身)の小米さんですね。で、米朝師匠の家はお弟子さんも師匠も同じ物を食べはるんですね。
米朝  そうやな、そう言うとこの頃長いこと食べてない物がある。いっぺん家に注文しよう。
ざこば  (笑)例えば?
米朝  う〜ん、湯豆腐なんか長いことやってないな。
ざこば  同じ物を食べる話でっけど昼、夜は同じ物でっけど、枝雀兄ちゃんだけはね、朝はいつもきしめんですわ。僕もそれまであんなうどんがあるの知らなんだ。
米朝  いや、きしめんだけでなくても、あいつは麺類が好きでね、麺類切らしことがない。

聞き手  師匠はお家で飲むときは長かったですか?
 米朝  話し相手がノッて来たりしたらね。枝雀なんかは今自分が興味があること、ダーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと俺に聞くわな、人の都合なんかかまわんと。ほなこっちもついノッてくのや。
ざこば  横になってはっても、起き上がってきはって、正座、あぐら、布団の上で。僕ら枕元座らさせていただいて、飲ましてもらいましたな。僕はそない聞くとが出来ないですからね、何を聞いてええんか分からんから、小米兄ちゃん、枝雀兄ちゃんが聞いてんのを聞いて、「あ〜」でしたよな。
聞き手  落語系の話ですね。
ざこば  そうそう。
米朝  そうやね。芸の話以外あんまりせなんだな。
聞き手  ざこばさんが1対1で付けてもらったネタというのは沢山あるんですか。
ざこば  約10ほどです。一番最初「くちなし」言うて小咄をやるんです。で「叩き」やって、「子ほめ」「商売根問」「道具屋」「米揚げ笊」「始末の極意」「鉄砲勇助」「不動坊」「崇徳院」「桃太郎」「(池田の)猪買い」。年期3年間でしょ。開けるのにまたがってたんが、「不動坊」か「崇徳院」3年間ずっと師匠のとこにいてましたん、そいで「今日から一本立ちや、ご苦労さん」言うていろんな物頂いて、家に帰るでしょ。もう朝起きたらなんにもすることあらへん。それで師匠のとこに「お早うございま〜す」って、電車乗っていくんよ。
聞き手  その時はどこにお住まいだったんですか?
ざこば  南海高野線の我孫子前に...
米朝  遠いで。
ざこば  そいで「お早うございます」「おう、なんや。まだ内弟子の空気抜けへんのか」てなことで、「また飯食って帰ったらええがな」でちょっと用事をして帰る。内弟子の3年間の時は早く外出たいなと思うてたのに、いざ出たら行くとこがない。でまた次の日師匠のとこ行って...。それが1週間ほど続いたら「お前他に行くとこないんか?」
米朝  (大笑)
ざこば  行くとこないねん。そのうちにぽつん、ぽつんと遠のいてほんまに行かんようになって、「たまに顔出しらどないや」言われて(笑)
米朝  (笑)

聞き手  師弟というのは他人やのに親子以上の関係になりますよね。
米朝  ほんまにね、親子とはまた別なんやな。
聞き手  うらやましいというのか、摩訶不思議というのか...。今まで見ず知らずの若い子を家においてですよ、ご飯食べさせて自分が習うてきたネタをタダで教えてですよ、それで3年間(内弟子として)面倒見て、その関係がずっと続くわけですからね。
ざこば  用水路の話しましたやろ。雨降りの日...
米朝  用水路へ犬が流されてんのや。
ざこば  武庫之荘の駅へ自転車で送り迎えする。それで駅まで言って師匠迎えて...ワォ〜ン、ワォ〜ン...
米朝  ワォ〜ン、ワォ〜ン...
ざこば  小ちゃい犬が鳴いてまんねん。見たら、用水路が増水して溺れとんねん。「助けたりましょか?」「おう、助けてやれ。助けるのもええけど、わし、先送ってくれ...」
聞き手  (笑)
ざこば  それで師匠送って、僕真っ裸になって水に入って助けたて、水から上がったら野犬がグゥーっと囲うとる、半円で。恐うてね、僕。
米朝  一所懸命、犬に言い訳、「いじめてるのちゃうで...俺が助けたんやで...」
ざこば  「お前ら見てたやろ、悪いけど、俺自転車で帰らなあかんけど、噛まんといてくれな」言うて、自転車の方へ行ったら犬が、ズーっと道空けてくれた。で帰って師匠にいきさつを話したら普通なら「そんなアホな」言うけどうちの師匠、「そんなことあるかも分からんなぁ〜」と言うてくれました。
米朝  わしも見に行ったで、それから。
聞き手  やっぱりいい師匠のとこ入りましたね。
ざこば  ええとこ入った...............アカンもう...
米朝  それからその功徳によるんか知らんが、「動物いじめ」というのをやって、あれでえらい売れた。
ざこば  師匠が私や弟子にする稽古の仕方は、米團治師匠のやり方なんですか?
米朝  そうや。うちの師匠ぐらいや、あんな稽古をするのは。
ざこば  きっちり、と言うんかねぇ...。
米朝  (四代目)文團治さんのとこへ稽古へ行ったことがあるんやけど、ズ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと垂れ流しみたいにネタを20分ぐらい一息に言うてしまうんや。それを2〜3べん言うてくれるねん。わしは、割りと取りの速い方やったから取れるんやけどな、普通の者はあれはよう取らんな。で、よう取らなんだら、「一言一句書け」言うてな。
聞き手  米朝師匠はここからここまでと区切って教えられるんですか?
ざこば  そうです。
米朝  あの時分は私も十は教えると、後は自分で取れと。
聞き手  普通は叩きやって、次のネタは決まってたんですか?
米朝  それは相手によります。
ざこば  「子ほめ」だけは決まってましたけど、その次は人によって違いますわ。「親子酒、ちょっと難しいけどやってみようか」言うて、ちょっとやったことあるんですわ。「こりゃ、まだ早いわ」言うて、もうちょい軽いのになりましたね。出だしの酔うてるとこが出来へんのですわ。
聞き手  米朝師匠からご覧になってざこばさんは覚えの早い方でしたか?
米朝  取りはね、決して遅い方やない。特に早いというほどではないけれど...
聞き手  内弟子時代はいいお弟子さんでしたか?
ざこば  (笑)堪忍してください。もう師匠、言わんで結構です..................悪いです。無茶苦茶悪いです。
聞き手  (笑)そんなに悪かったですか。
ざこば  悪いです。嘘付いてました、いろいろと。僕、靴磨くのうまかったですね(笑)もうそんな話はもうよろし。
聞き手  で人気がお出になって、朝丸からざこばに名前を変えましたが、なんでざこばだったんですか?
ざこば  ま、師匠は大阪らしい、大阪の名前やし、置いときたい(残しておきたい)と言うことで「わしも気に入ってる名前なんでな、これを残しておいてもええと思うねん」と言うて。僕は「何でも結構です」
聞き手  でも「ざこば」てぇ。ええぇ、っと思いませんでしたか?
米朝  「ざこば」は中央市場やということを知ってたんか?
ざこば  知りません。その時に師匠が説明してくれはったんで、それまで知りませんでした。嫁はんが、「名前変えんといて」言うて「朝丸でウィークエンダーでそこそこ売れてんのに、なんで今更...。又一から、仕事減ったらどないすんねん」そりゃそうや。
聞き手  切実ですよね。
ざこば  東京の細野邦彦というプロデューサーが「今日日(きょうび)ね、何代目とかいってる時代じゃない。朝丸でいいよ、朝丸で」言うて。で名前変えてざこばになったら「いいね、ざこば。いつの間にやら、ざこばだね、お前さんは」
米朝  (笑)いや本当にいつの間にやらざこばになってて、そういうもんや名前というのは。

聞き手  今度「桂ざこばのざっこばらん」という本が出まして、よう売れてるみたいですね。
米朝  なんぼです?
聞き手  1,300円。お出しになるきっかけは?
ざこば  何年か前にね、「本出さへんか」とあるとこが言うてきはったんですわ。僕ね「いやいや、まだ早い。本出すのんは」言うたら、あっさり引きよりました。「あ〜さよか。ほなまたね〜...」もっと押してくれなあかん。俺は嘘でも「いやいや」言うてんのにね。
米朝  (笑)これ誰かが書いてくれたん?
ざこば  一応自分です。テープにベー〜っと喋ってね。それを聞きながら字に起こすとね、「なめとんで、アホ、バカタレが...」なんや俺、柄の悪い人間やな思うてね。
聞き手  (笑)
ざこば  ありゃあかんわと思うて、そういうの分かってる人に取ってもらって...大変でしたわ。
聞き手  で最後に、「うちの師匠、米朝」という項目もありますが...
ざこば  はい、はい、ええ、ええ、もう、もう、結構です、結構です。師匠今日はありがとうございました。
米朝  いや、いや。どうもおおきに。

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扇子

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