| 米朝 |
狂言は200番ぐらいあるんですか? |
| 千作 |
280番ほど。その他に新作とか30番ほどございますね。 |
| 聞き手 |
スーパー狂言という梅原猛先生の作品がございますよね。 |
| 千作 |
狂言はだいたいこじんまりした芸ですね。それを仰山の人が出て大掛かりな狂言を梅原さんが書いてくれまして、4〜5回毎年やりましたね。 |
| 聞き手 |
記録に残っているだけでも三番ほどございまして、最初が『ムツゴロウ』 |
| 千作 |
有明海の干拓の...。ムツゴロウがね、だんだん住むとこがなくなって、それに対してムツゴロウが復讐し出すと言う... |
| 聞き手 |
それから『クローン人間ナマシマ』 |
| 千作 |
長島選手が引退すると、外国人選手が出来たとか、クローン牛が出来たとか、そんな世の中を批判した狂言ですね。 |
| 聞き手 |
一番新しいのが『王様と恐竜』 |
| 千作 |
金持ちで、世界中を制覇するというような王様が現れて... |
| 聞き手 |
この三番どれも、それをお書きになるとそれらしいことが社会現象として起こってきてますね。予知能力じゃないですけど... |
| 千作 |
そうですね。 |
| 米朝 |
ほぉ〜 |
| 聞き手 |
しかし80歳過ぎてからこういう新作を覚えるのは大変じゃないですか? |
| 千作 |
なかなかね、この年になると覚えられません。昔はね、わりと覚えたんですけど...。 |
| 聞き手 |
狂言は古典を守ることもさることながら、片一方で新作があるということは、何の芸能でもいることなんでしょうね。 |
| 米朝 |
ずっとしてきたことやからな。 |
| 千作 |
私らさして頂いてる狂言をね、いつまでもにぎやかに続けていくためには、やっぱり今まで通りの古い狂言の古典だけではね、先細りになるのやないかとね、心配します。 |
| 米朝 |
戦争が済んだ昭和22年か、あの頃からずいぶんいろんなことをやってきはりましたな。 |
| 千作 |
結局、生活も出来しまへんし。それではいかんと言うことでいろんなことをしました。学校へ行ったり、京都市が市民狂言会と言うのを催して頂きまして、それまでは狂言の入場料が映画よりも高かったんですけれど、映画を見るより安い見料で見られるようにしてくれました。それでえらい流行りましてね、今でも続いてますんです。 |
| 米朝 |
あれで初めて見たというお方も結構あった。 |
| 千作 |
それまで狂言ってあんまりご覧になる方少なかったですね。謡を習うてる方がついでに狂言も習おう、見に行こうとそんな方が多かったですね。 |
| 米朝 |
衣装や小道具は狂言師が伝えてた? |
| 千作 |
狂言は、衣装から面から道具から全部自分で持ってます。 |
| 聞き手 |
当然昔からお家に伝わっているものもございますよね。 |
| 千作 |
私は十二代になりますので、昔から伝わっている面がね、80面かそこらありましたんでね。それがこの頃増えまして、150面ぐらい持ってます。 |
| 聞き手 |
ほぉ〜 |
| 千作 |
衣装もね、徳川時代のね衣装が仰山残ってますさかい、そんなんもうボロボロでね使えまへんので新しく作ってね、この頃やってますね。 |
| 聞き手 |
聞く所によりますと、茂山さんの所はそういう衣装を奥様が... |
| 千作 |
男は狂言したり教えたりしますんでね、衣装の繕いとか、仕立てとかそういうのは女どもがやってくれてますね。 |
| 聞き手 |
『女ども』って言うのはよろしいですね。 |
| 千作 |
(大笑)家内がね(笑) |