| 聞き手 |
で、襲名の1月5日の落語が『寝床』。これをお出しになった理由は? |
| 歌之助 |
うちの師匠がよくやってたネタで『寝床』とか『茶の湯』とか、いろいろ考えたんですけども、『寝床』は明るくて...。言うても襲名したときまだ、丸10年にもならない、私自身は若手なんで、はじけるような落語をしたかったんで、それで『寝床』を選んだんですけどね。 |
| 聞き手 |
番頭が最初にいろんなことを言う、なかなか古い型ですよね。 |
| 歌之助 |
うちの師匠が圓都師匠から習ったと聞いてますんで...。 |
| 米朝 |
東京のね、『寝床』言うたら黒門町(八代目桂文楽)の『寝床』が印象に残ってますから、東京の人は思い浮かべるもんはあれしかないやろうと思いますけどね。圓都師匠の古風な『寝床』はまた、貴重なもんやったな。ああいう型はもう誰もやらなんだしね。どっちかというたら、やっぱり古風やさかい、無駄やと言うたら無駄なところがあるかも分からん、長いしね。で、黒門町の『寝床』というのはちょっとまとめあげて、洗い上げて、すっきりしすぎてるような『寝床』やったさかいな。で、またそれしかね、東京の人は知らんわけですよ。圓都師匠の『寝床』は誰も聞いたこと無かったやろうと思うわ。 |
| 聞き手 |
ないでしょうね〜。でも新歌之助さんのを伺っていると、ここは枝雀さんの美味しいくすぐりが入ってんな、お師匠はんのも入ってんなと。そのイキがね、2007年1月5日用にちゃんと出来てるなと思いながら、聞いてましたけどね。 |
| 歌之助 |
ありがとうございます。 |
| 小米朝 |
やはり枝雀兄さんのはね、印象強かったですもんね〜。どうしても影響されますよね。 |
| 歌之助 |
そうですね。 |
| 米朝 |
強烈やったからな。 |
| 聞き手 |
それでまた僕はね、枝雀さんの『寝床』の印象はね、『枝雀』を襲名したときにレコードが2枚でたんです。それは『寝床』と『鷺とり』が裏表になってる『寝床』が誠に面白かったんです。まだホワホワと言わへんぐらいで一所懸命やる、ちょうど変わり目ぐらいの時。 |
| 小米朝 |
あ、そうですね、ありました、ありました。 |
| 聞き手 |
これは面白い『寝床』しはんなぁ〜と思うて、ドンドンドンドンまた変わっていきはる... |
| 一同 |
はぁ〜(笑) |
| 聞き手 |
もっとおかずが増えていくんですけどね。 |
| 小米朝 |
おかずが増えるちょっと前のとこね、はいはい。良かったですね〜。 |
| 聞き手 |
あ、芸人さんて変わっていくんやなと思う、過渡期でね。それがどこか昭和48年の襲名のときに吹っ切れはったようなところありましたよね。 |
| 米朝 |
確かにそうですな。あれがきっかけやったんやな、襲名が。 |
| 小米朝 |
やっぱり襲名って言うのは、吹っ切れるんですね。吹っ切れましたか? |
| 歌之助 |
(大笑)なんか吹っ切れた気になってきました。 |
| 聞き手 |
でも新歌之助さんは米朝師匠にお稽古を付けて頂いたことは? |
| 歌之助 |
ないですね。金比羅の勉強会とか、ああいうところでいろいろご意見頂いたことはあるんですけど。 |
| 聞き手 |
米朝師匠から、こんなご指摘とか、御意見というのはあったんですか?思い出深い。 |
| 歌之助 |
いや、ま、多々、あの(笑) |
| 聞き手 |
ここでちょっとご披露頂けるようなことがあれば... |
| 歌之助 |
え〜、『阿弥陀池』を金比羅でやらして頂きまして、それこそ短い『阿弥陀池』やったんですけども、「誰に習うたんや」「桂喜丸兄さんです」「それはテキストが悪い」(笑) |
| 小米朝 |
あんた自分をけなさんと... |
| 一同 |
(大笑) |
| 小米朝 |
死んだキマやんけなしてどないするんや、あんたほんまに...(笑) |
| 歌之助 |
喜丸兄さん追善ということで... |
| 小米朝 |
あ〜、なるほどな〜 |
| 歌之助 |
思い出には残ります(笑) |
| 聞き手 |
えらい思い出やな(笑)でもあの金比羅でね、米朝師匠がね、横でずっと恐い顔して帳面つけるなり、メモ見てはって、そこでネタをやるというのは、どうでしたんですか? |
| 歌之助 |
そりゃもうお客さんよりも、米朝師匠の...、また見えるんですよね。そちらが気になって気になって。あ、今なんか書かはった。なにがあかんかったんやろ、今、今言うた台詞は。っていう(笑) |
| 小米朝 |
そうそう、腕が動くだけでね。 |
| 歌之助 |
気になりますね。 |
| 小米朝 |
よう見たらタバコをポケットに、の仕草やったんやけど、それでも気になるのやね。 |
| 聞き手 |
小米朝さんも気になりました? |
| 小米朝 |
今なおなってます。 |