10月21日 番外編 ゲスト 俳優・佐藤拓道 さん
 中之島演劇祭・リリパットアーミーUの「天下御免の馬侍」にいっしょに出演する俳優の佐藤拓道(ひろみち)さんがゲスト出演してくれました。
かれは、出産時の事故で生まれながらに障害を持ち、足が不自由です。
現在は、障害者の作業所で、介助の仕事をしながら俳優の道を歩んでいます。
今回のお芝居で知り合っていろいろ衝撃を受けました。
まず、演出のわかぎゑふさんはじめ劇団員が、かれの足の不自由なところを当然の個性として接しているところ。だから、遠慮なんてしません。
「へたくそ!足が動かんのはしゃあないけど手が動いてない!(かれは上半身に障害はありません)」とか「口の不自由なんはなんとかしろ!」とか
役者として、セリフや動きの悪いところはズバズバ指摘します。
体の不自由な人に接するとき、どこまでその障害に触れていいのかわからず、躊躇したり遠慮した付き合いになってしまいがちです。
正直、わたしはそうでした。
でも、それは障害を持つ人にとっては、かえって窮屈な付き合い方だったんじゃないかと思います。健常者のほうが助けてあげないといけないとか、ここまで要求するのはかわいそうだなんていうのは、大きなお世話なんですよね。
佐藤さんに、最近小中学校の運動会で競争させないのはどう思う?と問うと、「ナンセンス!教師の勘違いもいいところだ」と憤慨していました。
徒競走でビリになるとき、お母さんがこんなことを言ったそうです。
「ビリがいるから、一番がいるのよ!」
だからかれは、運動会でも一生懸命走ってきました。ところがある年、教師が彼にハンデをつけてひとりだけ前の方から走らせたんですって。そのときの屈辱といったらなかったといいます。それから、運動会が嫌いになったそうです。
「がんばれ!がんばれ!」特別な大声援をもらう。「そんなんいわれんでもがんばってるわ!」
足をひきずりながら走る彼を見て、遅くても走ってる姿におもわずがんばれといってしまう。これはなにも悪気はないことでしょう。苦しそうに見えますしね。でも、かれにとっては普通に応援してくれたらそれでいい。特別扱いが一番いやだというんです。
おかげで、そのあと同級生で揶揄するようなやつが現れたというんですね。
この先生の行為は、ぜったい間違ってましたよね。
でも、われわれもつい気づかぬうちにこのようなことをしていたかもしれません。悪気なんかまったくなしにね。
ようは、甘えずにがんばろうとしている力を逆に甘えさせてしまう行為になってしまうかもしれず、失礼なことにあたるケースもあるということを知りました。
いま、佐藤さんはこの芝居のために殺陣の振りをがんばって身につけています。
これまでは静かな役が多かったそうですが、わかぎさんはあえてかれの新しい面を出そうとしてるのかもしれません。
この先かれが役者としてどんなふうになっていくのかはわかりませんが、応援をしていきたいと思います。
障害者が、家にこもったり表に出てこない世界は、逆に障害者にとって生きにくい世界になる。だって、障害者を見たことも会ったことも話したこともないひとが増えるかもしれないでしょ?こういってかれは世間に出て精一杯のパフォーマンスをしています。かれの生き方がすでに役者としてのパフォーマンスになってると思うんですが。
(佐藤さんはこのあと私と一緒に、飯田さんの朝ごはんをいただきました。)
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