| 今年は『下流社会』という本が話題になりましたが、日本社会も欧州のように階層化してきたんですか?
「ちょっと、違いますね。欧州の階層社会っていうのは、きちんとした階層があって、上流階級、中流階級ってなっているんです。日本の場合の、今行われているのは、階層化って言うんじゃなくて、勝ち組とものすごい大量の負け組の発生です。
階層社会とか二極分解って言うと、どうしても両方の局にうまい具合にグラデーションがきれいになっているように感じて、その言葉のトリックにひっかかっていると思うんですけど、実は一極集中なんですね。
階層化とか、メリットクラシー(能力主義)とか、競争原理とか、市場原理とか言われていますけど、基本的には能力によってきれいにグラデーションの差があるのではなくて、ネットワークを持っている人間と持っていない人間に分かれていて、『個人で単体で生きる』と思っている人間と、『基本的に集団を形成して生きよう』と思っている人間の間に大きく差がついている。
今メディアが施策的に展開しているのも、基本的にはなるべく人間が個体化していく方向に棹をさしているわけですから、この流れの中で『勝ち負け』とか言って、個人の競争に励んでいる人間は、全員負けるわけですよ。『勝ち負け』言っている人は皆負けっていうのがあって(笑い)、だから言っちゃダメ、勝ちとか負けとか言っちゃダメだよと。『勝った負けたと騒ぐじゃないよ』と」
どうしてそういう風になっちゃったんですか?
「1つは一極集中で、どんどん皆弱くなっていくと、まあ収奪しやすいというか、コントロールしやすいというか、日本国民一人一人の生存能力がすごく下がってきて統御しやすくなるという事がありますし。
あとは、まあ短期的に言うと、生活単位が血縁的な共同体みたいなので1個ポンとあるよりは、皆がバラバラになっている方が、市場としては大きいわけですよね」
別々に住んでいると、それぞれに家電製品なんかが売れますものね?
「ただ、これは短期的にはすごく良いんですけど、今御覧の通り少子化というのは、端的に言って皆がバラバラになってしまった事の結果なわけで、新たに共同体を作ろうという能力もないし意欲も無い人達をたくさん作っちゃったせいで次世代が生まれないと。
まあ言いたかないけど、三洋電機とか家電で潰れかかっているところがありますけど、当たり前なんですよ、80年代にいっぱい売ったからね。皆をバラバラにして売っちゃって、結果的に次世代の再生産という事を怠って、子供がいなくなってしまって、これがだんだん高齢化して、消費行動も控え目になっていって、モノが売れなくなって、若い子も出てこないので、そういう形で一時期マーケットを爆発的に拡大した事で儲かった企業は、皆今がっかりしているんじゃないですか」
日本を階層社会にしていこうと誰が考えたんでしょう?
「誰かな、CIAかな(笑い)。でもこれ、あり得るのは、日米構造協議通じて、日本の構造改革とか規制緩和を強く訴えてきたのは米国なわけです。米国から見ると、日本の国力が削がれるというのは、米国の東アジア戦略上は全然問題ないわけですよね」
日本が国力を増すよりは多少削いでおいた方が良い?
「かなり削いでおいた方が良い(笑い)」
日本の階層化っていうのは日本をどんどん弱体化させる?
「今の流れはそうですね。だって、学力が無いんですよ。学力無くて、働く意欲が無くて、という事は知的なインフラが無くて、全然働いて無くて経験が無いわけだから、当然日本の技術力はどんどん落ちてきますよね。資源の無い日本を支えていたのは、知力と技術力ですから、両方とも今崩壊しつつあるわけですから、日本が2〜3流国にどんどん転落していくっていうのは、時間の問題です。今の流れだったらね」
これはどんどん加速していくものなんですか?
「放って置いたらねえ。でもまあ、僕なんかがラジオに呼ばれてこういう事を言っていられるのは、皆、ちょっとまずいんじゃないかなという事に気が付いてきたからじゃないですかね(笑い)」
『下流社会』と言う本が売れているのもそういう背景がある?
「やっぱり危機感持っている人達が増えていると思うんですよ。このままじゃちょっとまずいんじゃないかっていう、そういう危機感があるから本が売れるんじゃないですかね」
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