06/12/16、06/12/19〜06/12/23 放送 バックナンバー
好評! 旧暦で占う来年の長期天気予報
ゲスト:社団法人南太平洋協会・松村賢治さん
聞き手:藤崎健一郎アナウンサー
旧暦は、四季の訪れを前もって知る時間軸
もったいない! 明治政府が旧暦を排除した
旧暦で季節の先取りがビジネス必勝の極意!
リタイヤ団塊世代に贈る旧暦のスローライフ!
桜の開花と梅雨入りは遅い! 2007年の旧暦予測
 記録的な大雪や長い残暑、竜巻などの突風に見舞われた2006年もあとわずか。気象予報が当たらず商売に思わぬ影響を受けた方もいるのではないでしょうか。そんな方に、今、見直されているのが日本古来の太陰太陽暦、旧暦です。旧暦の奥深い知恵を活用することで気象が予測でき、商売がスムーズに、自然に近いゆとりのある日常生活が楽しめると注目されています。一昨年、去年に続いて今年も社団法人・南太平洋協会の松村賢治さんにこの不思議な旧暦の活用法と旧暦から2007年の日本の気象がどうなるかを伺います。
■旧暦は、四季の訪れを前もって知る時間軸

 改めて旧暦とは一体どんなものなんでしょう?

 「旧暦は『太陰太陽暦』と呼ばれていまして、月と太陽の運行を取り入れた暦です。
 太陽の1年は365日ですね。ま、閏年は366日ですが。で、月の1ヶ月は実は29.5日なんです。ということは、29日か30日で1ヶ月の単位になっていて、計算すると1年は354日になるんです。そのため太陽暦と旧暦の1年の差は11日出てきて、3年経つと33日の差になります。そうすると、2〜3年に1回は13ヶ月の年を入れなくてはならなくなります。ま、そんな厄介な暦なんです」


 生まれて今まで太陽暦で生きてきた我々には、なんて難しいんだと思いますが?

 「本当に不合理な非科学的な暦だと感じる人もいますね」


 でも昔は、この旧暦が日本人にとっては当たり前の暦だったわけですよね?

 「そうですね。太陽暦が導入された明治5年までは」


 旧暦の一番良いところは何ですか?

 「当時の人にとっては旧暦しかなかったので比較のしようがないんですが、日本の気候風土で農業を中心に国造りが行われていましたから、旧暦は農業の暦、農暦と言われていたんですね。ですから、必然的に春夏秋冬という四季の訪れを前もって知る時間軸だったわけですね。そういう意味では旧暦は貴重なものだったと思います」


 太陰太陽暦、旧暦では3年に1回、閏月を入れなくてはならないんですね?

 「そうです。で、その閏月がどこに入るかということですが、皆さんはどうやって決めたんだろうと思われるようです。理屈は確かに2〜3年に1回、閏月を作らないと太陽暦に追いつかないので、どこかに入れなければいけません。今の太陽暦でしたら2月に1日、29日を入れれば済むわけですが、旧暦の場合は2月に入ったり5月に入ったり今年みたいに7月に入ったりするんです」


 誰がどこに閏月を入れるのを決めるんですか?

 「別に誰が決めているというわけではないんです(笑い)。
 皆さんは二十四節期というのを御存知だと思います。二十四節期は太陽暦の中で春分の日なら3月21日、夏至なら6月21日と決められています。ところが二十四節期のうち中気の入らない年を閏年とするという法則が4000年も前からあるんです」


 で、2006年は閏月があったんですよね? 閏月の入る年は他の年とは違いますか?

 「日本の季節は1月から3月が春、4月から6月が夏、7月から9月が秋となっていきますけど、2006年は7月が2回あったんです」


 7月に閏月があったんですね?

 「そうです。ですから2006年は秋が4ヶ月あったんです。で、7月が2回あるということは、残暑がずっと長引くよというのが昔の人は誰でも予測できたんです。事実、今年は残暑の長い夏になりました。秋が長いですから逆に冬の訪れが遅れたんですね」


 実は2005年のこの番組で、松村さんに2006年の予測をしてもらいましたが、その時には『2006年は秋が長くて年内は比較的暖かい』と予測してもらっていました。これがぴったり当たりましたよね?

 「そうですね(笑い)」

▲ページトップへ
■もったいない! 明治政府が旧暦を排除した

 他にも松村さんには2006年の予測をしてもらっていましたが?

 「2月に大雪が降りましたよね。私の田舎の広島でも平年は30センチぐらいの雪が70センチぐらい積もりましたけど、長野でも豪雪になりました。これは前の年の『冬は冬らしく、めりはりのきいた年になる』という予想の通りになったわけです。
 で、そんなに台風は多くはなかったんですが、変な突風が吹いたりしました。私も旧暦カレンダーを発行して20年になりますが、これまでにこんな気象が起きることはなかったですね。昔も飢饉がありましたけど、いわゆる異常気象が旧暦で予測できるかと言うと、できないと思います」


 ただ、広い意味での気象の傾向はわかるということですね?

 「そうです。秋が長いということは冬の入りが遅れてくると、昔の人はよくわかっていたんですね」


 2006年夏は、九州や山陰、長野で豪雨もありましたが、この予想はどうでした?

 「繊維業界で旧暦を普及させるという活動を長年されてきた小林弦彦先生(元倉敷紡績)が、旧暦の予測をするために1000年近くのデータを持っておられて、閏7月の入った年がどんな年だったかということを300〜400年分遡って見ると、2006年は夏が異常な年になるなということはわかるんですね。だけどその程度しか旧暦ではわからなかったと言っていますね。だから果たして正確に全部がわかるかというとそうではない。
 ま、人間が作った暦ですから、その通りに自然がなるわけがないですね(笑い)。これは太陽暦でも同じだとは思いますけど」


 それから松村さんによると2006年の桜の開花が早まるということでしたが、これも調べてみたら東京でソメイヨシノが10日ほど早く咲いたという結果でした。

 「そうですか(笑い)。旧暦は科学的ではないと言われますけど、じゃあ『科学とは何?』ということにもなりますね」


 昔は旧暦も科学的な予測であったということじゃないんですか?

 「精密な統計学から旧暦はきていると思いますね。何千年という統計を取って、結局、農業の暦を作ろうと思ったら太陽だけでは上手くいかなくて、動植物のバイオリズムに月の引力が大きく影響しているのではないかということを昔の人は体験的に知って、それを元に旧暦を作ったのではないかとしか思えませんね」


 旧暦の気象の的中率はどうですか?

 「私が研究した20年間では75%ぐらいですかね」


 ずいぶん高いですね! 現在も気象の予測が出されていますけど、それと比べても75%ですか?

 「旧暦と現在の気象予測を比較することはできないと思いますね。
 昔の人は、日本の属する温帯モンスーン気候での四季の変化は旧暦に則ってやって来るんだと思って、ずっと続けてきたわけですよね。その証拠に、西暦604年に旧暦が使われ始めて70〜80年経った頃に白鳳・天平時代という文化が栄えましたけど、これもデータを調べて見ると、2.5倍ぐらい農作物の収穫量が旧暦導入の前より上がっているんですね。だから旧暦の暦を使うというのがそれだけ効果があったということですから、やはり旧暦の農暦としての面目躍如ということになったと思いますね」


 それだけ生活に非常に役立つ旧暦が、何故現代に生かされないのかと思いますが、気象予報士に『旧暦を予測に使っていないんですか?』と尋ねたら、『旧暦なんてナンセンス』という答えでした。

 「私も15〜16年前に気象庁に聞いたら、『ノーコメントです』と言われました。農協の人に聞いても『旧暦なんかに頼っているから日本の農業はダメになったんですよ』と逆に言われました(笑い)」


 でも松村さんが言われるのは、旧暦を活かせばもっと農業も発展できるということですよね?

 「なぜそんなデータしか日本にないのかと思って調べてみると、明治5年に、富国強兵、文明開化という国の方針を進めていく時に、いわゆる東洋の中の日本では具合が悪いと。早く西洋の文明を採り入れて植民地にされないようにしなければということで旧暦を止めてしまったんですね。
 でも良く調べてみると、当時の日本は農業国ですから、『旧暦を農暦として残しておくべきだ』と言った当時の学者はかなりいたんです。その人たちを御用学者から外してしまったんですね。その結果『旧暦害悪論』しか残らないことになり、それが今まで尾を引いて、学校では旧暦を教えないわけですね」

▲ページトップへ
■旧暦で季節の先取りがビジネス必勝の極意!

 実際の旧暦の活かし方を教えて欲しいんですが?

 「活かし方は個人で違うと思うんですね。
 旧暦カレンダーは、現在1万部ぐらい売れるようになりました。私たち以外にも20種類ぐらいの旧暦カレンダーが発行されています。
 私たちの旧暦カレンダーは、いかに生活に活かすかということを考えているんです。そのためには、まず今私たちが冬なら冬の季節のどのあたりにいるのか、例えばまだ冬の季節に入ってまだ1ヶ月しか経っていないとか、あと一週間で春に入るよとかがわかることがすごく大事なんです。
 今の太陽暦じゃわかりませんよね。旧暦の場合は、2006年の夏が4月28日から7月24日までという風にきちんと言えるんですね。
 だから俳句を作っている人が季語を心配することなんか全くないわけです。それでも今、俳句を作る人でも、季語を現代の季節に合わせて替えようかという人が多いんですね。それは日本の文化を破壊してしまうことにつながると思いますね」


 ビジネスで旧暦を活かしている話はありますか?

 「例えば繊維業界では、20年以上前から小林弦彦先生を中心に『冬が冬らしくなるのはいつからか?』ということを調べていますね。これは年末商戦にとても大切なことなんです。太陽暦では特定できませんが、旧暦なら11月1日頃、2006年の太陽暦では12月20日頃から本当に寒くなってくると予測できるんです。
 同じように、春が春らしくなるのは旧暦の2月1日からなんです。旧暦では1月1日の元日から春が始まりますけど、そのようなことがわかるのが繊維業界では大きなメリットになるんですね。
 実際に旧暦を使っている人は、5月の連休が旧暦の春の季節なのか夏に入るのか、それによって5月の連休に出荷する商品がタンクトップなのか上に羽織るものが必要なのか、全然スケジュールの立て方が違ってくるんだと言ってますね」


 繊維以外の業種ではどうですか?

 「季節に関連したビジネス、例えばクーラーとか扇風機とか暖房器具の会社などは、暑さ、寒さがいつから始まるのかは大変重要になってくると思いますね」


 もちろん農業にも結びつくことですよね?

 「大規模農業とかビニールハウスの農業とかは季節に関係なく農作物を作らなくてはならないですけど、家庭菜園とか露地栽培とかをしている人には、農暦である旧暦を使えば良いのです。だから、じゃがいもを植えて上手くできた時は旧暦カレンダーに印を付けておいて、農作業をしていけば良いんです。
 昔の寺や庄屋さんが『今年は2月に閏月が入るから、田植えをするのは遅らせた方が良いよ』ということをちゃんと農家の人にアドバイスをしていたわけですね。もちろん旧暦でもズレはあるでしょうけど、太陽暦よりは差が小さいというのが、私のこの20年の研究の結果ですね」

▲ページトップへ
■リタイヤ団塊世代に贈る旧暦のスローライフ!

 一般の人が生活に旧暦を生かすにはどうすれば?

 「私は今、大阪に住みながら、3分の1は広島県の過疎の町に住んでいますけど、都会にいて季節を掴もうとしても旧暦カレンダーが無いとわからなくなるんですよ。田舎に行けばわかりますよ。落ち葉がどんどん屋根に積もり出したな、とかね。季節の変化ですから。でも、都会ではそういう変化がわかりにくいですね。
 面白いことに、例えば旧暦のカレンダーに『銀杏が落ちた日』を付けてみると、大体、翌年も同じ頃に銀杏が落ちますね。そうすると生活が楽しくなりますよね。『今は季節のどのあたりかな?』と思って、1週間に1回ぐらいは旧暦を眺めるようになって」


 松村さんは『方丈庵』という建物で生活しているということですが?

 「今から800年前に、下鴨神社の宮司の家に育った鴨長明が、おそらく日本人で初めてスローライフを始めた人だと思うんです。鴨長明は、いち早く出世競争を止めて、京都の郊外に方丈庵を建てたんです。方丈というのは1丈四方ですから、3m四方、9uの小屋を組み立てて、自分の住んでいる家の200分の1ぐらいの小さなその庵で生活したら結構楽しいと方丈記に書いているんですね。
 それを現代に活かせないか、現代の方丈庵を造れないかなと。都会に住んでいる人が、田舎にも小さな拠点があって両方の生活ができたら、旧暦を時間軸として暮らすのも楽しいかなと。で、30年前に私はヨットで世界1周した経験がありますので、方丈庵の中にヨットのキャビンを造ろうと、トイレもシャワーも流しも放り込んで。囲炉裏もあって、5人が生活できないかなと思って組み立てハウスにしました。180万円ぐらいでキットが買えます」


 普段はその方丈庵で生活をしているんですか?

 「私は、それよりも少し大きいサイズと小さなサイズの両方を造っていまして、小さい方丈庵はゲストハウスにしています。ニュージーランド人の夫婦が泊まって感動して帰って行きましたね。母屋よりこちらの方が良いって(笑い)」


 2007年は団塊の世代が大量に定年退職しますけど、今まで仕事が生きがいで忙しく働いてきた人が、旧暦と共に生きる上手な生き方のアイデアはありませんか?

 「私はもういくらでもできると思います。五節供というのがありますよね。七草粥が年の最初にあって、3月3日の桃の節句、5月5日の端午の節句というのを太陽暦と旧暦の両方で、2回すれば良いのではないかと。
 田舎のある人なら、太陽暦の3月3日の桃の節句に田舎に帰ってみると良いんです。でも、残念なことに桃の花は無いと思います。で、旧暦の3月3日に行ってみると、桃の花に巡り合えますね。そうしたら日本の気候は、七夕も梅雨の季節でなくて、旧暦では秋口ですから、ちゃんと月や星が見えるというのがわかってきますね。おそらく『日本の自然はこんなに素晴らしかったのか!』と感じることができると思いますね」


 ゆったりとした時間を旧暦で過ごしてみるというのも良いですね?

 「ですから年賀状も旧暦で出すと良いですね。(来年なら)2月18日に出せば良いんです。年賀状をもらった人には後出しになりますけど(笑い)」

▲ページトップへ
■桜の開花と梅雨入りは遅い! 2007年の旧暦予測

 2007年はどんな気象の年になると予測しますか?

 「2007年の春は訪れが遅くなると思います」


 つまり冬が長くて寒いということですか?

 「太陽暦の1月1日を基準で言うのなら、お正月は寒くないですね」


 まだ2006年の秋が遅れてきて引っ張っている感じですか?

 「そうです。冬が本格的になってきていない。恐らく1月の終わりぐらいから寒くなってくるのではないでしょうか」


 2006年は大雪が降りましたけど、2007年はどうですか?

 「そんなに大雪は降らないのではないかと思いますね。冬の訪れが遅れて、『何となく寒いね』という日が続きますけど。で、夏も遅いと思います。梅雨入りが遅れると思いますので」


 じゃあ桜の開花も遅れてくると?

 「恐らく2006年と比べると20日近く遅れるのでは」


 梅雨の雨の量とか夏の暑さはどうでしょうか?

 「雨の量まではわかりませんが、2006年に比べて2007年は梅雨入りは遅れるはずです。ただ、異常気象までは旧暦では残念ながら予測できませんね。いわゆる飢饉の年が予測できなかったように。田植えは遅らせた方が良いかも知れませんね。と言うのは、夏の後半まで日射量があるという、残暑が厳しいということですから」


 2007年には閏月はありますか?

 「ありません。平年ですけど、2006年の7月に閏月があった影響が、前半は出てくるということです」


 秋から冬にかけてはどうですか?

 「大体メリハリのきいた、おそらく秋は紅葉がきれいな、冬は冬らしくという。紅葉の時期は2006年よりも早くなると思いますね」


 松村さんが発行している旧暦カレンダーの活かし方は?

 「春は1月から3月なので、最初の1ページには3か月分を春でまとめて書いてあります。で、次のページには4月から6月までの夏が書いてあります。ですから、今、自分がどの季節の部分にいるかを掴めます」


 個人的に松村さんの旧暦カレンダーを購入したい人の問い合せ先ですが?

 「社団法人南太平洋協会は国際交流のNPO団体ですが、ありがたいことにこの旧暦カレンダーの売り上げで活動ができています。電話は大阪06-6376-1151、FAXは06-6371-9337に連絡して申し込んでいただければすぐに送れますし、紀伊国屋書店などでは2007年の1月の初めまでは置いてもらっています」

▲ページトップへ