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07/09/13〜07/09/15 放送 バックナンバー
首相突然の辞任表明! 自民・安倍丸に何があった?
ゲスト:朝日新聞論説委員・梶本章さん

聞き手:戸石伸泰記者
 
APECに行く前から覇気がないという感じ
麻生さんの責任は、参院選後がんばれと言った
時間切れ! インド洋から海上自衛隊は帰ってくる
 安倍総理が辞任を表明しました。7月の参議院選挙に惨敗した後も続投を宣言した安倍総理。人心を一新、内閣を改造して臨時国会に臨むはずでしたが、『政治とカネ』の問題で遠藤農林水産大臣がわずか就任1週間で辞職したことに加えて、インド洋での海上自衛隊の給油支援にからむテロ特措法の延長問題で野党が激しく反発するなど、厳しい局面に立たされていました。朝日新聞論説委員の梶本章さんに安倍総理の辞任表明後の臨時国会がどうなるのか? 今後直面する政治情勢についてお話を伺います。
■APECに行く前から覇気がないという感じ

 9月12日に、突然という形で国会の代表質問の直前に安倍総理大臣が辞意を表明したというなのですが、梶本さん、なぜこの時期に安倍さんは辞意を表明したのでしょうか?

 「とにかく、そこは、みんな驚いているわけです。参議院選挙に負けて、負けたけれども続投すると。それで内閣を改造し、外遊もして対米・対外公約になっているという『テロ対策特別措置法』を通すと会見をして、そして所信表明をして、さあこれから本番という時に辞めてしまったということで、非常にみんな驚いているわけなんですけれど、一応本人は、記者会見の中では『テロ対策特別措置法』を通すために局面転換を図らなければいけないと、自分が総理大臣ではそれを通すのは難しいと、あるいは民主党に党首会談を申し入れたんですけれど小沢党首はそれを断ったと、いうようなことで、私がいてはこの法律が通らないということを理由に挙げているんですけれど、私は、ちょっとそれは違うんじゃないかと思っているんです」


 本当のところは違う?

 「はい。そこは、安倍さんは心身ともに疲れきっていると、これが真相ではないかという風に思っています。安倍さんは側近には、政治的なエネルギーがなくなったとか、非常に疲れたということも漏らしています。
 与謝野官房長官が会見の中で、総理はいろいろおっしゃったけれども、1つだけ言っていないことがあると、それは自分の健康状態であるとおっしゃっていますけれど、そんなに悪いかと言われれば、そうではないと思いますが、やはり気力、体力が非常に弱まっている、それでついに張り詰めていた緊張が萎えてしまったということじゃないかと思います」


 なるほど、官房長官は安倍さんの辞任の会見を受けた形で、記者会見をしたときにそのようにおっしゃっていまして、仕事と健康のバランスがとれなくなったのではないかとおっしゃっていましたが?

 「実は私たちも、ちょっと総理の体調、気力がおかしいのではないかという風に思っていたんですよ。それはAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に行かれる前ですね。先週の木曜日なんですけれど、所信表明が出来上がって、その中身を論説委員などに説明する会があったんです。
 総理の説明を私の同僚が直接聞く機会があったんですが、どうも首相は何を聞いても覇気がないと、言葉が途切れがちだと、おかしいということを同僚が感じたわけです。安倍さんという人は、普段は非常に攻撃的な人で、自己主張が強くて、相手を非難していくというところに特徴があったんですけれど、その人が、覇気がないよという感じになって、これはどうなったんだろうと。ちょっと気力が萎えているのではないかという観察をしていたんです。
 そうしたら、APECのシドニーでの記者会見、日曜日ですけれども、一所懸命やると言いながらも、職責にはしがみつかないと、いつまでも総理のポストにしがみつきませんよと、いうこともおっしゃったわけですよね。これは常識的には言わなくてもいい言葉なんですけれども、そこまで言ってしまったということで……」


 しかも、記者の質問をさえぎる形で自分で言ってしまったということですよね?

 「一所懸命やりますよと言った後、司会をしていた人が『じゃあ次の質問を』と言ったときに、それをさえぎるような形で『職責にしがみつくことはない』と言ったことなどから、精神状態も不安定なのではないかと思っていたんです。
 しかし所信表明をやれば、これから国会日程が入ってくるなと思っていたんですけれども、いかんせん動きがつかなくなったと、それで投げ出したということだと思いますね」

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■麻生さんの責任は、参院選後がんばれと言った

 それと梶本さん、一番聞きたいことは次の総裁は(いったい誰になるのでしょうか)?

 「常識的に言うと、今幹事長をやっている麻生さんです。ただし麻生さんというのは、次を狙うにあたっては、安倍首相からの禅譲を期待していると。だから安倍さんを支持して、安倍さんを支えて、安倍さんが辞めた後に自分が次の総理になろうという戦略を描いていたのですが、安倍さんが非常に批判を浴びる形で、唐突で無責任、前代未聞、という批判を浴びながら辞めた中で、果たしてそういう路線で禅譲を受けることができるかどうかというのがなかなか難しいと思います」


 麻生幹事長が10日の時点で、自民党の役員会の後に安倍総理から辞意を聞かされていたということを明らかにしましたね。それで何もできなかったわけですからね、麻生さんは。1つそれはありますね。

 「麻生さんの最大の責任は、参議院選挙で負けたときに、本来であれば、政治の常識から言えば辞めなきゃいけない人をがんばれと言ったと。これはやはり大きな責任だと思いますね。それが裏目に出ているわけですね。それからもう1つは、次を考える人がいろいろ名乗りを上げるのではないかと。
 福田さん(元官房長官)を推す声もまた出てくるだろう。あるいは額賀福志郎さん(現財務大臣)、派閥の領袖クラスも名乗りを上げる。
 そうすると麻生さんのバック、旧河野派ですけれども、きわめて小さいところなので、なかなか難しいと。そういう意味では麻生さんは、当然手を上げると思うんですが、いろんな人の顔ぶれを見ないとわからないと。常識的に言えば、外務大臣から幹事長になって、今、党を仕切っている麻生さんが出てくるであろうと。本来ならばそこが一番有力なんだろうということは言えるんですけれど、ちょっとまだまだ良く見ないとわからないという感じです」


 これで国会がストップしてしまいましたね。代表質問の直前にこういうことになりまして、これからのことになるんですけれど、内閣総辞職という形にまずはなるんですか?

 「内閣総辞職に最終的にはなるんですが、安倍さんはまず自民党の総裁をお辞めになる。その後内閣を総辞職して、改めて国会で次の首相は誰になるのかということの指名を受けて、首相の指名は衆議院が優先しますから、参議院では与党は少数になっていますけれども、基本的には衆議院で多数を占める自民党の総裁が首相に指名されると。
 ですからこれからのことは、まだ首相を辞めるわけではなくて、『首相を辞めたい』と言ったので、これからの手続きとしては、次の自民党総裁を選ぶということが作業に入ってきます」


 先に(総裁選挙が)来るわけですね?

 「そうですね、総裁選挙をやると。普通は、正常時・平常時は全党員による選挙をしたりするんですけれど、(今は)異常時・非常時ですから、党大会で選ぶのではなくて、両院議員総会で次の自民党総裁を選ぶと。両院の国会議員と各県から3人の代議員が集まって、次期総裁を選ぶ。
 次期総裁が選ばれた直後、今度は翌日くらいには安倍内閣を総辞職する、辞めますと。そうすると日本には総理大臣がいなくなりますから、次に国会で首班指名ということが行われるわけです。おそらくここでは、衆議院では自民党の総裁が選ばれ、たぶん参議院では(民主党の)小沢さんが選ばれると、こういう状態になると思われます。しかし衆議院が優先するというので、自民党の総裁が首相になると」

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■時間切れ! インド洋から海上自衛隊は帰ってくる

 内閣ですが、この前改造したばかりなんですけれど、大臣の皆さんはどうなるのですか?

 「理論的には新しい総理になった方が、新たに組閣するということになるんですけれど、こういうときは良く『居抜き』と言うんですが……」


 居抜きですか?

 「居抜き内閣。要するに大臣そのものは代わらないで、店の主人だけはポッと代わってしまうと。たぶん、今ある内閣をそのまま継承して、総理大臣だけが代わるということに、過去にそういう例もありましたので、そういうことになるのではないかなと思います」


 なるほど。それと論戦が本格化するのは、10月の後半から11月になるだろうということでしょうか?

 「10月に入ってから。9月は自民党の総裁選びということで、10月に入ってから論戦がようやくスタートすると、代表質問などがそのあたりから始まっていくのでしょうということですね」


 だいたい半月遅れるわけですが、今回安倍さんも辞める理由の1つに挙げていた『テロ対策特別措置法』というインド洋での海上自衛隊の給油作業の継続、この法律が11月1日で切れてしまいますね?

 「これは、たぶん継続するのはきわめて難しいと思います。時間も非常に、確か今国会の会期は11月10日までだったと思いますが、10月末までに法案を成立させなければならないということですけれど、国会審議が遅れてしまうということで、審議はそこまでに成立するのは非常に難しいだろう、時間的に難しい。
 それから、民主党が方針を変えることはないと小沢さんは明言されていますので、民主党が賛成するということはないだろうと。そうすると参議院で否決されるか、あるいは参議院で60日間審議されないような状況で、否決されたとみなして、衆議院で、3分の2で再議決して通すという方法があるんですけれど、果たしてそこまでやり切れるかどうか。 
 たぶん時間は切れて、インド洋に展開していた海上自衛隊の艦船が日本に帰ってくると。そして帰ってきた中で、日本が居ないということが(国際的に)どの程度反響を呼ぶのか。あるいは実質的にガソリンスタンドをやっているという話もありますので、アメリカがアフガニスタンに9.11テロの反抗として、アメリカにお付き合いをするという意味で、象徴的にあそこに出したという意見もありますので、そういう反響を見てどうするのかということを改めて考えることになるのではないか。
 実際通る議席数があれば、どんなことをしても通すと思いますが、参議院のねじれという中で、どこまでやり切れるのかというのは、なかなか難しいと思います」


 しかし、参議院選挙の大敗の後に、それでもやるんだという風に安倍さんはいったんはおっしゃって、恨み節になるんですけれども、自民党・与党の人たちにすると、だったら何であの時にとなるわけで、辞めるんだったらあの時じゃなかったのかよと、こういうことを言う人もいますよね(笑)?

 「自民党は参議院選挙で(獲得議席)37という歴史的な敗北をしたわけですよね。普通ならば、選挙というのは国民の民意を問うているわけですよね。国政選挙ですからこれだけ負ければ、総理大臣辞めろというシグナルなんですよね。この辺から無理が始まったのではないかと思います」


 やはり引き金になったのは、7月29日の参議院選挙の後に無理やり続投してしまったのが、あったということですよね?

 「それはその通りだと思いますね。無理に無理を重ねていたと。よほどこういうときは強靭な胆力というのか、精神力がないと、この局面は乗り切っていけないんですが、安倍さんはまだ52歳ですしね、当選5回ということで、政治的に経験もあまりないということで、やはり無理に無理を重ねていくうちに行き詰って、どうしようもできなくなった。ある意味で最後はやや精神的にも不安定になってしまった。そういう中で投げ出したんだと思っております」

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