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08/09/09〜08/09/13 放送 バックナンバー
障害者アスリートの目標は?パラリンピック日本代表に聞く
ゲスト:北京パラリンピックアーチェリー日本代表・中西彩さん
聞き手:高橋大作アナウンサー
身障者と健常者が対等に戦えるアーチェリー種目
メンタルが重要な競技だからこそ、練習が大事
勝利のゲンかつぎは「赤い靴下」
少ない競技人口が課題。「誰でもすぐ始められます!」
目標はメダル!パラリンピックにみんな注目!
 水泳の北島選手や、ソフトボールで大変盛り上がった北京オリンピックでしたが、その同じ会場で今、障害者のための国際大会、北京パラリンピックが開かれています。世界およそ140カ国からおよそ4000人のアスリートが集まる中、日本も、選手役員合わせておよそ300人の大選手団を送り、前回アテネパラリンピックの52個を上回るメダル獲得を目指します。
 今週は、前回のアテネに続き2回連続でパラリンピックのアーチェリー種目日本代表に選ばれて現在北京で戦っている中西彩さんに、出発直前の関西空港で伺いました。
■身障者と健常者が対等に戦えるアーチェリー種目

 今日は北京パラリンピック・アーチェリー日本代表の中西彩さんに来ていただきました。よろしくおねがいします。

 「よろしくおねがいします」


 今日は(スタジオに)来ていただいたというよりも、私がおじゃましております。ここは関西空港で、まさに明日から北京に降り立つということなのですけれども、どうですか?今の気分は。

 「そうですね。特に何か、ドキドキしているというのは、今はないですね。とにかく無事にここまで来ることができて、今はホッとしています」


 あらためて中西さんの出場種目を教えて下さい。

 「アーチェリーになります」


 出場する1試合目はどういった試合で、どういったものになるのでしょうか?

 「9月9日からアーチェリー競技が始まるのですが、9日が予選になります」


 70メートル級に出ると(いうことですね)、9月9日に70メートル。パラリンピック、そして障害者スポーツのアーチェリーというのは、いわゆる健常者のアーチェリーと違ったところはあるのですか?

 「細かいことを言えばあるのですけれども、特に点数のつけ方などとかということには差がなくて、健常者と障害者が対等に競い合える、数少ないスポーツだと思います」


 中西さん自身も、健常者と一緒に試合や大会に出られたことがあると伺ったのですが、本当にハンディキャップは感じなかったのですか?

 「そうですね。自分が大会に出るときに車椅子だということを理解してもらって、説明したりとかはいろいろするのですが、競技が始まってしまうと何も、特別なことをしてもらうということはなく、一緒にやっています」


 中西さんは先天性の二分脊椎(にぶんせきつい)症で、手を突いて歩いたりすることはできるけれども?

 「日常はほとんど装具をつけて歩いていて、競技をするときと、ちょっと遠くへ出かけるときは車椅子に乗るのです」


 (アーチェリーを)やっていて、もうちょっとここが動いたらいいのにな、と感じたことはありますか?

 「あんまり思ったことはないですね。同じように競い合うというとことが一番重要なことだと思うので、できるだけこちらが同じようにあわせるということですね」


 そんな中で前回アテネ大会があり、そして4年たつのですが、前回からルール上変わったことはあるのですか?

 「競技のやり方はちょっと変わりました。でもやり方と言っても、トーナメントがあるのですが、打つ本数が少なくなったりだとか、団体戦もあるのですが、団体戦でも一人ひとりの打つ本数が変わったりとか、そういうことになると思います」


 それはかなり緊張度が増すのではないですか?

 「そうですね。ミスはできないですね」


 でもみんな同じ状況で競技をするのですが、中西さんはその点はどうですか?少ないほうが力を発揮するタイプですか?

 「やはりミスをしてしまうとしんどくなるかもしれませんが、私は少ないほうがいいですね、どちらかと言えば」


 では、今回はいいですね(笑)。

 「はい(笑)」

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■メンタルが重要な競技だからこそ、練習が大事

 中西さんは国際試合も多く経験されていますけれども、パラリンピックは違いますか?

 「来るメンバーはいつもと一緒で、変わりはないのですけれども、やはりその雰囲気というのは、あまり言葉では言い表せないのですが、皆違う意識を持ってきているなというのは、前回のアテネの時にすごく感じました」


 雰囲気が違うのですか?

 「そうですね。みなさん、選手皆がここで勝つために来たのだなという雰囲気はすごく感じました。前回、私は16人中13位だったのですけれど、そこで4位か5位の選手と当たって、その選手が絶対に当たりたくないと思った選手で、過去にオリンピックイタリア代表の人で、オリンピックにも出場したこともある実力もある選手だったのですけれど、初戦でその人に当たってしまって」


 精神的にね?

 「もう初めて前日の夜は眠れなかったです。今まで前日の夜に眠れないことはなかったのですけれど、緊張してすごい経験をしました(笑)」


 眠れなかったのですか?前回。

 「はい、弱かったですね。もうその時点で負けていたのだと思います、気持ち的に。
 今回はアテネでの経験を生かして、その時よりは落ち着いていけるのではないかなと感じています」


 日本人と他の国の選手で、他の国の選手はこんな動きをするのだとか、試合の前にこんな集中の仕方をするのだとか、びっくりしたことはありますか?

 「一番すごいなと思ったのは、今までもパラリンピックで金メダルとか、必ず上位にいく選手が、韓国の選手の中にいるのですけれども、その選手はいつも普段は明るくて、元気な方なのですが、試合前になると毛布を頭からかぶって、試合の直前に。そこからずっと動かないのですね、何分も。最初何をしているのだろうと思っていると、なかなかそこから動かないので、あとで考えたら、そこで集中していたのかなと」


 やはりそれだけ精神的なものが左右するスポーツであると?

 「そうですね。やはりメンタルが重要な競技ですね」


 中西さんの集中の仕方は?

 「そうですね。やはり、私はもともとどちらかというとメンタルが強いほうではないので、当日もすごく緊張するので、それで当日に何かしようと思っても私は多分ダメだと思ったので、やはりそれまでの練習で『これで大丈夫』と思ったときはうまくいくことが多いです」


 日々の積み重ねがモノを言うと?

 「やはり練習、本当にこれで大丈夫と思えた試合のときはいい成績を残せるので、そのたびに練習が大事だと思います」


 ちなみに北京で競技したことは今まではあるのですか?

 「いえ、ないです」


 つい先日まで北京オリンピックもやっていましたけれども、どんなイメージ?

 「あまり情報がないので、実際のオリンピックをテレビで観て、競技をしている雰囲気がどういう感じかとかいうことを感じながら、観ていました」


 どうでした?他と比べて。

 「やはり空気の問題だったり、気候だったり、外でやる競技なのでそこは気になるところだったので観ていたのですが、実際の北京オリンピックに出場された方からの情報とかも聞くことができて、やはり行かれた方もちょっと空気が悪くてしんどかったということがあったので、そういうところは注意して対策をしなければならないと思っています」

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■勝利のゲンかつぎは「赤い靴下」

 実は中西さんは8月にもABCラジオの『全力投球!!妹尾和夫です』にもご出演いただきまして、妹尾さんとトークを繰り広げられたのですが、どうでした?生放送は。

 「そうですね。まさか呼んでもらえると思わなかったので、すごく楽しく、いろいろ聴いて頂いたので、私はそれに答えただけだったのですけれど、番組のスタッフの方から出演されている妹尾さんまで、雰囲気がすごく良かったので楽しく出させていただきました」


 大事な、闘う用具を妹尾さんが触っていましたけれども大丈夫ですか(笑)。

 「ありがたく感じています」


 『ゴッドハンド』やから?

 「そうですね。やはりそういうのは勝負している側はすごくありがたいと思っています」


 競技前にすることはあるのですか?縁起をかつぐというようなことは。

 「そうですねぇ。赤い靴下を履きます。大事な試合のときには、国内でも、海外でも」


 今回も?

 「持ってきています」


 ずっと履いているのですか?

 「そうですね。試合のときには必ず履いたら、気持ち的にも落ち着くのではないかなと思っているので」


 赤が好きだとか、あるいは日本を背負っているだとか?

 「きっかけはアテネ(パラリンピック)に出場する国内選考会の朝に、両親も観にきていて『今日はこれを履いて出て』というように、その選考会のときに赤い靴下を出してくれました。母は赤いものを身に付けて勝負をすると縁起がいい、と何かで知ったみたいで、それで買ってきてくれたようです」


 勝負靴下ですね(笑)?

 「そうですね(笑)」


 ではもちろん靴下を履いて挑もうというわけなのですけれど、今回、北京に向けてはどうですか?

 「今回はアテネ(パラリンピックに出場)が決まるよりも、去年1年間が本当に長かったと思うので。(今回は)ちょっといろいろ調子が悪くなってしまって、そこからなかなか抜け出せなくて、去年出場権が獲得できる世界選手権が韓国であったのですけれど、その大会でも本当に直前からちょっと調子が悪くて、その結果が韓国でも出てしまって、出場権が獲得できませんでした。
 そこで(出場権獲得が)できなかったので国内の選考会までいってしまったのですけれど、(選考会に)いくまでにケガをして、今回長かったと思っています。今やっと落ち着いているので、決まって落ち着いてきているので、今までしんどかったのを思い出してがんばっていきたいと思っています」


 でも中西さんはほんまに落ち着いていますよね?

 「そんなことないです」

 明日から北京に飛び立つとは、ここが関空だと感じさせないような感じですけれど(笑)

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■少ない競技人口が課題。「誰でもすぐ始められます!」

 ちょっと障害者スポーツのアーチェリーの競技全体ということについてお伺いしたいのですが、日本での競技人口というのは、あまり増えていないという話を聞くのですが?

 「そうですね。私は中学校2年生のときから始めたのですけれど、今は若い私くらいの年代の選手が本当に少ないので。いないわけではないのですが、やはりそういった人たち、『(若い)年代の人たちがどんどん始めてくれたら、もっと活気が出るのにな」といつも選手として感じています」


 敷居が高いのですか?

 「いえ、そんなことはないです。誰でも始めようと思えば、すぐ始められる競技だと思います」


 中西さんが始められたときのきっかけというのは?

 「やはり私もスポーツをやったことがなくて、基本的におとなしい性格なので、外に出て何かをするということが、嫌いではないのですが、もともと得意ではなかったので、そのままずっと中学生まできて、中学生になったときにそれを見ていた父がちょっとスポーツを何か始めてみようか、ということでアーチェリーができるということを探してきてくれて、父の勧めで最初は始めました」


 それで始めて、ぐんぐん上手くなっていったのですか?

 「いえ、最初は練習に行くのがイヤでした」


 何がイヤだったのですか?

 「初めて見学に行ったときに、実際にやっておられる選手の方がいらっしゃって、障害者の。すごいなと思って、そのときはすごく感動したのですが、実際にそのときに軽い弓を持たせてもらってやったのですが、本当に力がすごくいるということがわかって、しんどかったので、私はそれで『かっこいいな』と思ったのですが、続けなくてもいいかなと思いました。
 私は『もういいな』と思ったのですが、父のほうが(アーチェリーを)やってはるのを見て楽しいと思ったみたいで、最初のころは毎回父に引っ張られながら行っていました」


 お父さんがテンションが上がってしまったというか(笑)?

 「ほんとうに。まさにそうです(笑)」


 それでも日本代表に、ここまで来たというのはご自分の努力があったと思うのですが?

 「やはり、すぐ『これができないから別の何かを始めよう』というのが難しいなと思っていたので、でも『始めるからにはがんばっていきたい』と最初は嫌々だったのですけれど、だんだん思ってきたので、ここまで続けて来られたかなと思います」


 (アーチェリーの)魅力はなんですか?

 「魅力は、やる上での魅力は集中力を持って的に矢を集めるということは、本当にすごく当たらないときはしんどいのですけれど、当たったときは本当に、何と言うか、達成感がすごくあって楽しいです。
 アーチェリー全体としては、健常者と障害者が対等に競い合える競技は本当に少ないと思うので、そういった意味でも障害者の選手でもオリンピックに出ようと思えば出ることができるので、そういったことを考えるとすごくいい競技をすることができたと思っています」

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■目標はメダル!パラリンピックにみんな注目!

 これから競技人口が増えていったらもっと盛り上がっていくと思うのですが、何か我々、ラジオを聴いている皆さんも含めてできることは?

 「オリンピックとかはすごく応援して、世界中の皆さんが本当に知ってはるものだと思うのですが、世界的にみてパラリンピックの知名度はまだまだ低いと思います。
 昔はパラリンピックというのは、リハビリのための大会だと言われていたのですが、今は全然そうではなくて、障害者の選手も1人のアスリートとして、一所懸命この4年間のためにやってきているので、そういったところをもっとテレビやラジオで報道してもらって、一般の方に理解していただけたら、もっと選手もがんばれるのではないかと思います」


 改めて今回北京パラリンピックの目標を教えてください。

 「やはり、アテネのときは緊張しながらもがんばっていけると思ったのですけれども、やはり世界はそんなに簡単なものではなくて、本当にボロボロだったので、今回は2回目で、そういった前回の経験を生かしていかないといけないと思って4年間やってきました。
 それでいま、もうすぐ競技が始まるというところで、しっかり練習ができたと思うので、個人でも、団体でも、ぜひメダルを目指してがんばっていきたいと思っています」


 どうしたんですか、今、言っちゃったな、という顔をしましたけれど(笑)。自分自身にプレッシャーをかけてしまいました?

 「いえ、大丈夫です」


 その目標を先ほどもお聞きしましたけれども、今までの練習というものがあるから、これからする秘策というか、対策はやりつくしたという感じですか?

 「そうですね。やはりどれだけ自分がその場に立って落ち着けるかというのが、この競技は勝負を左右すると思うので、あまり周りのことは気にせずに、自分に集中していけたら大丈夫かなと感じています」


 前回の悔しい経験は生きそうですか?

 「前回のような悔しい思いはしたくないと思って4年間やってきて、前回のような失敗はしないようにという意識は常に持っています」


 関西の、いま聴いている皆さんと、あと妹尾さんの番組のリスナーさんと妹尾さんに向けて何かメッセージがあれば。

 「1人ひとり選手として、がんばってきているので、そういったアーチェリーも含めてパラリンピック全体をみなさんに知っていただきたいと思うので、テレビや何か、報道機関の中で伝えられたときにはぜひ注目して観ていただきたいと思います」


 リラックスして(笑)、こんな僕が言うのもなんですけれど、ぜひがんばってきてください。本当にありがとうございました。

 「ありがとうございました」

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