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09/12/19 放送 バックナンバー
鳩山政権誕生から100日!でも前途は多難
ゲスト:朝日新聞編集委員 星浩さん

聞き手:阿部成寿記者
普天間問題先送り!本音は県外移転?
来年5月がリミット。下手をするとグアム移転もなくなる?
来年度予算は埋蔵金頼み?でも借金も増えて
献金問題で国会運営は難航、鳩山総理退陣も!?
 今年は8月30日の衆議院総選挙で民主党が圧勝し、「政権交代」が起きました。圧倒的な支持を得た鳩山内閣が誕生して来年度予算に向けた「事業仕分け」が話題になり、「政治が変わった」という実感がわくような動きもありました。一方で、普天間基地の移転問題で、アメリカとの交渉が難航し、また鳩山総理本人に母親から資金提供を受けた問題もあり、これから前途多難な政権運営が予想されます。
今週は朝日新聞編集委員の星浩さんにお話を伺います。
■普天間問題先送り!本音は県外移転?

 この鳩山政権、3ヶ月がたちました。

 「そうですね。9月16日にスタートですから、3ヶ月ちょっと。今月12月24日でちょうど100日というところですね」

 ということになりました。最初のうちは、とにかく最初のスタートだから、みなさん大目に見てくださいよと、国民に半分泣きの涙のような鳩山内閣ですが、いま懸案となっているのは、何といっても(在日米軍)普天間(ふてんま)基地の移設問題ですね。一体これはどうなってしまうのか。何が決まって、何が決まらないのか。

 「普天間の問題は、最終的に決めないことを決めたという変な話です。だいたい大きく分けて3つくらいありまして、1つは3党で、連立与党の民主党と社民党と国民新党の3党で話し合いを続けましょうと。それから2番目は、移転経費に関わる普天間から辺野古(へのこ)に移転するための予算を、一応仮に、来年度の予算に計上しましょうということです。アメリカがこれを見れば、なんとなく大丈夫なのかなと。アメリカが半分安心するところがありますから、アメリカ向けですかね。
 3番目は、県外移転ももちろん視野に入れていきましょうということで、これは沖縄向けです。沖縄にもアメリカにも連立の各党、とりわけ社民党にも配慮した、ちょっとよくわからない玉虫色の合意になっているだけです。
 実際には話をずるずると引っ張っていって、来年夏の参議院選挙に向けた5月くらいに最終決断をしようと(している)。そのためには、社民党を引き連れていますから、仮に社民党を含めて辺野古に移転ということになったとしても、社民党にも招致してもらうことも出てくるかもしれませんし、アメリカの対応次第ではグアムにもちょっと。
 いま1万8千人の海兵隊を1万人は残して、8千人はグアムに移すということをやっていますから、それをもうちょっとグアムのほうに多く移してもらおうとか、いろいろな交渉をしてみようかなという話ですが、実際はなかなか難しいですね。
 ちなみに来年の1月24日に、この辺野古をかかえる名護(なご)市の市長選挙があります。そうすると現在の市長さんは泣く泣くといいますか、苦渋の決断をして、辺野古受け入れを容認したのですが、それに対して県外移転を叫ぶ新顔が挑戦しますので、この名護の市長選挙の結果次第では、また辺野古は受け入れ拒否という可能性も出てきました。
 そうなると、この話はさらに迷走するということで、結果として普天間の永続化といいますか、普天間が使用され続けるということになりかねませんので、なかなか鳩山さんの決断に評価は分かれるところですが、少し厳しかったかなという気はします」

 鳩山さんの頭の中には、最初からこのような時期も含めたスキームがあったとは考えられないですか?

 「鳩山さんの頭の中にはもちろんあったでしょうね。つまり鳩山さんは、この前の総選挙の時に、普天間の移転は日本とアメリカの合意では辺野古になっていましたが、鳩山さんは県外が基本だと(言っていた)。できれば国外と言っていましたので、一種の公約で党の代表として言っていたわけですから、その公約を外したくない。公約で言った以上は、県外を求めることが、もちろん鳩山さんの気持ちの中にあったでしょう。
 しかし政権に就いて、いろいろ厳しい状況を考え、それから県外といっても簡単ではないというところからすると、結局は従来の日米合意の辺野古でまとめるしかないかなという気分も強まって、そうしている時、11月13日にオバマ大統領が来日しまして、鳩山さんと初会談がありました。そこで例の『Trust me!私を信頼してくれ』という発言が鳩山さんから出るわけです。Trust meと言われれば、アメリカはこれはもう従来の日米合意でいくのだな、と思ったわけですが、実はそのTrust meは、アメリカからすると後になって裏切られるわけです。
 ということで、この問題がこじれ始めた。そういう意味では、その鳩山さんのTrust me発言が、この問題がこじれた最初でして、アメリカからすると少し不信感が出てくる。沖縄からすると、これによって県外移転に対する期待が膨らんでくる。しかし、実際はなかなか具体的な移転先は決まらないという、非常におかしな状況に入ってしまったというところです」

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■来年5月がリミット。下手をするとグアム移転もなくなる?

 それに国内で政党として反発した、すぐさま反応したのが社民党ですが、今回の社民党のものの言い方は非常に強烈でした。

 「福島さんが重大な決意という事で、福島さんの場合は、ここで普天間を辺野古に移されては、社民党は従来から辺野古への移転反対、県外がベストと言っていましたから。沖縄問題というのは、ある意味社民党の原点のようなところがありまして、絶対譲れないということで、場合によっては、連立離脱もありうるということを、福島さんが党首選挙を控えた局面で言いました。そうしたら、鳩山さんがそれを真に受けてといいますか、『わかりました。県外移転で考えましょう』となったわけです。
 社民党からすると、強気に出たのがうまく転がっていったので、しめしめということでしょうね。ただこの前の衆議院の獲得議席は民主党308議席、社民党が7議席、国民新党が3議席ですよね。国民感情、有権者の気分からすると、なぜ7議席の社民党にそれほど引きずり回されるんだということが民主党の中にもあります」

 今後鳩山政権、鳩山総理としては、一体この問題について、どっちを向いてというか、何をしていきたいのか。

 「鳩山さんは、おそらく鳩山さんの気持ちの中に大きくわけて2つあります。1つは、鳩山さんはもともと十数年前から、常時駐留なき安保が望ましいと言っています。つまり世界第2の経済大国になった日本に、アメリカの軍隊がこれほどいっぱい駐留しているのはおかしい、アメリカの軍隊は大幅に縮小すべきだと(言っている)。理想は駐留、常時いつもいる軍隊ではなくて、時々有事の時だけ駆けつけてくれる安全保障条約にしようという、ちょっと虫がいいかもしれませんが、そういうことを言っていました。ですからこれをきっかけに在日米軍の大幅削減、常時駐留なき安保にまで到達するとは思えませんが、そのようなところにもっていきたいという一種の理想論、理念がある。
 一方で政権に就きましたから、政権に就けば、例えば実際の北朝鮮の脅威だとか、中国とどう向き合うかということ、それからアメリカの軍事戦略からすると、沖縄にとっては残念なことに、この10年くらいのスパンで考えると、アメリカにとっての沖縄の軍事的な位置づけが高まっています。アメリカにとって、軍事的に大切な島になっている。
 ですからアメリカからすると、そう簡単にここから引くわけにはいかないということで、そのようなアメリカの事情が総理大臣になってみて、現実に直面している。だから自分の理念、理想と厳しい現実の中の板挟みにあって、時々人によって話しをする相手によって違っています。オバマさんにはTrust meと言ってみたり、福島瑞穂さんには県外移転でいきますと言ってみたり。そのあたりの整合性がとれないことが、鳩山さんの場合、かなりはっきり出てしまうので、そこでどうなのかなという問題が自民党あたりから指摘されています」

 このように先延ばし感があるところは、アメリカがいまピリピリしていることからも如実にわかるのですが、アメリカは一体いつまで我慢して臨みますか。

 「1つは先ほど申し上げましたように、アメリカは8千人の海兵隊をグアムに移転します。そのグアムに移転するのは、普天間を辺野古に移すこととパッケージになっています。普天間を辺野古に移さないのだったら、グアムに8千人移すのをチャラですよという話になってきますから、仮に来年の4月、5月の時点で辺野古に移さないということが固まってくれば、アメリカは、ではグアム移転もチャラですよということになってきますから、ひとつ来年の4月、5月あたりがポイントでしょうね」

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■来年度予算は埋蔵金頼み?でも借金も増えて

 来年度予算、いよいよ決めなければならない時期にきましたが。

 「そうですね。こればかりは普天間問題とは違って、決めないことを決めるわけにはいきませんから。日本の予算というのは、このような時代に昔ながらの手法で年末に予算を政府与党で決めまして、それをガッチャンガッチャンと印刷機で印刷して、通常国会に提出しなければならない。すごく膨大な量ですから、予算書を作って、それを印刷して国会に提出、議員に配布する作業が必要です。1月20日前後には、通常国会を開かなければなりませんから、そうするとどうしても印刷の時間などを考えますと、年末がギリギリです。ですから、これから12月30日までには予算を決めることがデッドラインですね。
 ところが、今年はご存知のように、景気が悪い。例えば、今年度で見れば46兆円入るだろうと思った税収が38兆くらいしかない。一方歳出は、麻生政権の時、当初予算は88兆円くらいでした。ところがどんどん今年の民主党の鳩山政権になって、歳出については概算要求という各省の要求を積み上げてみたら、96兆、97兆になっています。38兆とか40兆にいかない税収で95兆くらいの歳出ということで、さぁ、どうやってこれを圧縮していくか。その足りない分は、もちろん借金、国債でまかなうしかないのですが、44兆円という麻生政権時代の第一次補正を含めた国債の発行額ですが、それ以内におさめられるかどうかがポイントです。
 一般の家庭に当てはめてみると、このような数字です。つまり400万円の年収の人が950万くらいの生活をしている。借金、ローンは8000万円たまっている。返す当てがないという家計です。これは相当破綻寸前というか、実質破綻している家庭ですね」

 普通だと、どこもお金を貸してくれないような状況ですね。

 「そうでしょうね」

 そのような中、何か削れるものは削り、たんすの中をひっくり返してでも、お金をとにかくひっぱっていきたいということで、あの手この手で臨んでいるわけですが、実際の目標額は、税外収入が10兆〜14兆円といわれていますけども、これを持ってくるあてはあるのですか?

 「埋蔵金といわれるやつを含めて10兆円以上をどうにか確保しようということで、これは意外と可能です。何かのために積み立てている外国為替特別会計や雇用調整金みたいなところも、これはかなり取り崩していますけどね。しかしこのような埋蔵金を掘り出してくるのは、一回こっきりです。
 それから特に一部国債、借金を償還するために充てる埋蔵金というのがあります。それを積み立てているやつ。そうすると、借金を返すはずの積み立て金を崩すと、『なんだ。この国は800兆の借金を返す気がないのか』という話になりまして、その800兆にかかっている長期金利が、いまは1.4%くらいですが、それがじわじわと上がる可能性があります。
 ですから、この埋蔵金をとりあえず活用するのは一瞬はいいのですが、そう簡単にはいきませんよと。先ほどの400万の年収で、950万の生活で、例えが正しいのかどうかわかりませんが、将来設計のために、子供の教育のために貯め込んでおいたへそくりを取り崩してくるみたいな話ですから、なかなかいい話とは思えないですね。
 だから800兆で、長期金利がいま1.5%以下くらいですから、どうにか(なっている)。800兆で1.5%というと12兆円ですか。これが、例えば長期金利がどんどん上がってきて、3%になると800兆に3%ですから、24兆円ですね。そうすると、毎年金利だけで24兆円も払うというすごいことになるわけです。これは私の個人的な見解ですが、将来的には、この800兆の借金の元本を減らすことを考えていかなければならないと思います」

 景気対策の部分でも力を入れていかなければならない部分がたくさん出てくると思います。そうなると、友党である連立与党の国民新党の亀井代表なんかは、かなりあの手この手を打ち出してきましたけど。

 「最近連立政権の中で非常に元気がいいと言いますか、発言力が強くなっている亀井さんは、『もっと予算の規模を100兆円くらいにして、どんどん景気対策をしろ』と言っています。そこをどうやって菅副総理や藤井財務大臣が押さえ込むかというところは、これから予算編成の見所でしょうね」

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■献金問題で国会運営は難航、鳩山総理退陣も!?

 その予算編成をとにかくきちんと年内に固めたい。越年はしないのが大前提になるわけですが、とりもなおさずこのような財政運営、景気対策も含めてそうですが、念頭にあるのは来年の参議院選挙ですね。そこまでの国会運営は、いろいろな意味でハードルがある、山はいろいろあると思うのですが、どうですか?

 「鳩山政権は、なぜかKのつくハードル、難問が多いです。アルファベットのKです。鳩山さんの献金問題。それから景気対策、株、為替。非常に難問山積ということですね。政策的には、景気対策をどうするのかということが、自民党、公明党の野党とのかなり大きな論争となるでしょう。
 しかしなんといっても一番シビアなのは、鳩山さんの献金問題ですね。これは当初は、鳩山さんの秘書が個人献金が少ないから鳩山さんのお金を個人献金に作り直した、書き直したんだということで、死んだ人とかまったく献金した覚えのない人の名前を使って、虚偽記載をしたという話だったのですが、途中からなんと鳩山さんのお母さんが9億円も小遣いをくれていたということになりまして、お母さんの資金はどうなったんだということになっていますね。
 この9億円というのは、5年間に9億円。実は簡単でわかりやすい数字です。5年間に9億円ということは、1年間に1億8千万。1年間に1億8千万ということは、毎月1500万なのです。要するに毎月鳩山由紀夫さんに1500万のお小遣いが5年間継続して(あった)。5年間というのは、政治資金規正法の書類が保存されているところで5年間ですから、おそらくもっと前からあったのでしょう。
 だから相当な額の資金提供があった。普通ですと、このようなものは、親族からのこのくらいの大規模な資金提供は、だいたい形式上は借入金などにしておいて、実際返さないにしても、借用書を出して済ましておくんです。
 ところが、鳩山さんの場合は借入金もないので、どうも贈与、お小遣いとしてあげたということになっています。しかし贈与ですと、贈与税がかかります。これは鳩山さんが払わなければなりませんが、贈与税は払っていないので、贈与税をどう払うのかという話になります。おそらく9億円のお小遣いですと、4億円以上の贈与税を払うことになるのでしょうが、そうしてみると、虚偽記載だけではなくて、税逃れということになってきます。
 一国の総理大臣が税逃れをしていたということになると、少しシビアな問題ですから、これは自民党も公明党も共産党も相当追及してくるでしょう。鳩山さんがこの問題をどこまでしのげるかが、実は最大の来年の通常国会のポイントでしょうね」

 なるほど。そうなってきますと、1つ間違えれば総理の椅子から、自ら去らなければならない。辞めなければならない。

 「その可能性も出てくるでしょうね。ただ民主党は衆議院で圧倒的な多数を持っていますから、政権が自民党に変わるというわけではありません。ですから今年は総選挙があって、政権交代という大政変だったけども、来年はもし仮に鳩山さんが辞めても、民主党の中から後継者を選ぶという政変でしょうね、あるとしても」

 早く来そうですか?

 「私は意外と早いような気がするんだなー。通常国会の1月、2月、3月を鳩山さんが簡単にしのげるとは思いにくいですね。可能性としては、半々くらいになってきているのかなという気はします」

 先だっても記者団から、『心が折れてしまったんじゃないですか』という質問があって、『いや、そんなことはない』という発言もあったということも聞いています。

 「鳩山さんは、揺れても折れない柳みたいな人だという説もあるのですが、しかしこの個人献金の問題、おそらく個人献金の問題ですね。それからその時の、来年の1月、2月の景気がどうなっているのか。それから国会の情勢がどうなっているのか、支持率がどうなっているのか複合的な要因でしょうね」

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