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このような言葉、生態ですよね。そもそもあるものに名前をつけていくのは、長生きしそうな言葉ですが、一過性でドンと広がって、スッと消えてしまう。それこそ死語だといわれてしまうような言葉になる分かれ目ってどう?
「これははっきりいうと、何とも言いがたいです。はやったままずっとそれが引き続いていくかもしれないし、さっきの『婚活』みたいに、私の意識としては『婚活』すらあまり意識しなかった。
ところが若い人にとってみると、結婚するということは非常に大きな課題となってきているわけです。ですから、自分の恋人を見つけるためにはさまざまな行動をしなければならない。婚活は必要だというのは、僕のレベルから比べると10倍も20倍も大きいわけです」
ハードルが上がっている。
「意識が非常に強い。だから常に日常的に『俺、婚活するんだ』とか『私、婚活したいわ』という言葉をはく。そうすると、20代、30代で使われているうちに、それは今度50代の部長クラスが『婚活という言葉がはやっているみたいだな』という形で、今度は家庭の方でも使い始める。あるいは、同窓会なんかで50代のおじさんが集まったところに、『いま婚活というのを若い連中が言っているぞ』というように言うと、今度はそこの同窓会に集まった人々が、他のところでも話すようになってくるという形でガッと広がってきたのではないかと(思います)」
要は世代間で、ある種の概念が生まれてきて、世代の中で交流が生まれてくる。
「ということになりますね」
なるほど。では、流行語だと言っていても、『え、これ流行語?』となるような言葉、『ファーストファッション』は、確かにユニクロが銀座にできましたね。できましたけれど、そこを利用しない人間が『ファーストファッションはやったよ』と言われても、『え!』という感じはあります。
「そうなのです。だからこれなんかはっきり言うと、流行語の中に入ってくるのかなという気はしていたのです。逆にいえば、『ユニばれ』だとか」
『ユニばれ』?
「『ユニばれ』というのは、ユニクロのTシャツを着ていること。みんな同じものですから、それを着ていくと『あんたユニばれね、ユニクロ着ているでしょ』ということが、はっきりとわかってしまう」
ユニクロであることがばれる。
「うん。あるいは、『ユニ隠し』だとか。逆に少しでもTシャツに工夫を加えて、『これユニクロじゃないのよ』というように見せる。それを『ユニ隠し』というような形で、『ユニ』だとか。もうはっきりいって、『ファーストファッション』の代表格はユニクロです」
そうですね。
「ですから、ユニクロという方がむしろ僕は流行語としてはやってきている。ただし、ユニクロは20数年前にできあがっているブランドですから」
ユニクロから派生している概念の言葉。
「そうそう。それが今年あたりに誕生してきているから、これはずっと広がりを持つのではないかという形で、新語、流行語大賞の中に入ってきた方がいいような気がします」
その言葉が流行語になるか、概念として定着して新語になるかの分かれ目は何ですか?
「はっきり言うと、二十数年ずっとこれを研究し続けてきて、その境目がまだわからないのです。というのは、これは主観という形で逃げているのですね」
主観?
「1つの線が引けるものではない。ここから新語ですよ、ここから流行語ですよとピシッとした境界線があって、ここのレベルにきたら新語にしてあげましょう。ここのレベルまで達してないから流行語ですよということは言えない。常にその線は、非常に揺れ動いているわけです。揺れ動いているものに対して、これはこのような決まりがありますよということは言えないぞと、いまでは思いつつあるわけです」
新語というのが、先ほどの『メタボ』ではないですが、『メタボ』を新語、流行語だと言うのもちょっと変ですね。
「はい」
あれは1つの定着語となりますよね。そのへんになるというのは、やはりみんなが何となく思っているけど、それを名づけてないから、その概念がちゃんと言い表せないということをピシャっと示す言葉だったら定着しそうな気がします。
「そういうこと、そこのレベルです。ただし定着したかもしれないけれども、その定着の度合いがどの程度かを測るのは非常に難しいです。ですからはっきりいうと、それぞれのみなさんの頭の中に、この言葉があるというのを1つずつ頭を割ってみて、この言葉とこの言葉がここにあるから、この人にとってみればこれが1つの新語かなという形でしかやっていきようがないのですね。
ですからはっきり言うと、国立国語研究所がアンケートをとって、この言葉は新語と思いますか、流行語と思いますかという形で、これは新語ですというように国立国語研究所が言ったとしても、その報告書を見て、『私はこの言葉を知らなかった』という人も結構多い気もします」
国立国語研究所みたいなところだと、ら抜き言葉であるとか、いろいろな日本語の変遷みたいなのをずっとウオッチはしていますね。そのような感じで、同じ名詞、同じ動詞、同じ文章の仕方でも、捉らえ方、ニュアンス、意味のとり方が違うとなってきますね。日本語の乱れという言い方になりますけど。
「そうですね。だから本当に言葉というのは、使う人にとってみて、それが一番自分にとって新しい言葉だったと思えばそれでいいわけです。だから60代の人がようやく『ナウい』という言葉を聞いてみて、これ面白いぞと思ったら、その人にとってみれば『ナウい』という言葉は、新語か流行語なわけです。ところが20代の人にとってみれば、『ナウい』と言われると、これ40年前にはやった言葉じゃないのと笑い飛ばしちゃって、もっと新しい言葉を自分たちで作りあげるかもしれない」
そうか。じゃあ高齢者の人からすると、『(昔の言い回しを)何でいま使っているんだ?』みたいな言葉が新語と言われていることもあるだろうし、若い人からしたら、『(いまさら)そんな言葉を使うなんて』というイメージになっていることもある。だから主観だと。
「そういうことになります」
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