ぴたっと・ジャーナル

放送日:2010年10月18日(月)

福知山市動物園の人気者!みわちゃんとうり坊君のその後!

ゲスト:
福知山市動物園園長
二本松俊邦(にほんまつ としくに)さん

 およそ1ヶ月前にこの番組の夕刊ぴたっとのコーナーで、京都府の福知山市動物園で、子猿のみわちゃんとイノシシの子どもうり坊君が大の仲良しで、うり坊君の背中にみわちゃんが乗って、お散歩したり、抱き合ったり、一緒に走ったりして、にわかに動物園の人気物になりました。そして、来園者が急増していることをお伝えしました。
 今、手元にうり坊君と子猿のみわちゃんのカラー写真がありますが、愛らしいですね。珍しい組み合わせが、人々の笑顔をそそりますが。
 そこできょうは、福知山市動物園の園長の二本松俊邦(にほんまつ・としくに)さんとお電話を結んで、一躍人気者になったみわちゃんとうり坊君がその後どうなったのか。そしてまた、熊、猿、イノシシによる人間の被害が連日報じられていますが、これらの動物によってもたらされる被害を避けるにはどうしたら良いのかということも、あわせてお伺いしようと思います。

(加藤)この福知山市動物園ですが、昭和53年に開園した動物園なのですよね。

(二本松)「そうです」

(加藤)東京ドームの半分ほどの敷地で、70種類の動物が今いるということですね。
 その中でも、子猿のみわちゃんとうり坊君の仲睦まじい様子が、テレビや新聞でも報道されまして、今、本当に大人気ですね。

(二本松)「はい、ありがとうございます。こんなことになるなんて思っていなかったので、大騒動なのです(笑)」

(加藤)そうなのですね(笑)そもそもなぜ、イノシシと子猿という珍しい組み合わせが生まれたのでしょうか?

(二本松)「うり坊はね、全然気にしないで毎晩、事務所の入り口で寝ているのですが、猿は1歳くらいまでは、どうしても母親に抱きついて離れない動物なのです。それで僕らが帰るときには、『独りにせんといてくれ』とワーワー泣いているのです」

(加藤)寂しがって。

(二本松)「そうなのですよ。それを、心を鬼にして置いて帰っていたのですね。1ヶ月ほどはがんばっていたのですが、11年前に猿と豚がすごく仲が良かったことを思い出して、今度はイノシシにみわちゃんを託したら仲良うなってくれへんかと思って、やってみたのです。
 3日ほどは怒っていたのですが、4日目くらいから、うり坊君がみわちゃんに対して『背中に乗ってもかめへん』と、おとなしくなりだしたのです。それからずっと乗せていたのですが、うり坊君は1日に何回か動物園の中を走ることがストレス解消になるようで、それでおとなしくしてくれているのです。
 逆にみわちゃんは、1日中誰かに抱きついていないと辛抱できないので、みわちゃんとうり坊君を一緒にすればこちらの手も離れるし、何とかならへんかなと一緒にしたのが最初だったのです」

(加藤)なるほどね。そもそも動物としての性質が近くて、ちょっとくっつけてみてはどうかなという点で相性が良かったということになりますかね。

(二本松)「うり坊とみわちゃんの両方とも人間に慣れていましたし、あとはうり坊君とみわちゃんさえ仲良くなってくれれば、丸く収まると思ったのです。3日ほどで『もういいよ』と仲良うしだしたので、屋外に出してやったら、みわちゃんがうり坊君の背中に乗って、喜んで走るのです。
 その光景をお客さんが見て、本当は毎日何回も走らせるつもりはなかったのですが、ときどきうり坊君とみわちゃんの気晴らしにさせるつもりが、こんなに大げさになってしもうて(笑)」

(加藤)そうすると心配なのが、子猿のみわちゃんが今月8日にけがをしていたということで、そのみわちゃんが晴れてきょうから復活をしたとお聞きしましたが。

(二本松)「ご心配をおかけしました。足のふくらはぎを噛まれて、左腕は小さな傷で皮をつまむ程度でよかったのですが、ふくらはぎの筋肉が縦に1センチから2センチほど切れたのです。それがみわちゃんもかなりショックだったようです」

(加藤)アライグマにひっかかれたのでしたっけ?

(二本松)「そうです。うちにアライグマのランちゃんという大スターがいて、お客さんに『みわちゃんをひっかいたのはお前か!』と勘違いされて怒られていたのですが、実は『それちゃいます。そのむこうにおるランちゃんの親です』と言うとったんです」

(加藤)ひっかかれて19針も縫う傷だったということですが?

(二本松)「全部で4ヶ所でした。1ヶ所あたりはそうたいして大きくはなかったのですが、足のふくらはぎの部分は細かく縫っておきたいということで、そのため多く見えたのだと思います。
 きょう、腕は12時ごろに抜糸が全部できました。残るふくらはぎも、きょう抜糸しても良かったのですが、傷口が開いては困るので、安全のためにもう2〜3日様子を見ようということで、獣医と話しがまとまりました」

(加藤)そうですか。小さな体だけに、余計に痛々しく見えたのですが、みわちゃんがうり坊君の背中に乗る姿は、きょうは見ることができたのですか?

(二本松)「10時過ぎに復活させられるかどうか、テスト段階で走らそうとやってみました。おりを並べてフタを開けてやったら、みわちゃんはすぐにはうり坊君の所へ行かなかったのです」

(加藤)なぜでしょうね?

(二本松)「やっぱり違和感があったようで、1分〜1分半ほど愛想がなかったのです。そうすると急に、みわちゃんがうり坊君の背中に乗って走り始めて、元に戻ったみたいで、ほっとしたんですよ、本当に。乗らなかったらどうしようか、次に走り始めたら傷口が開かないかということも心配だったので。
 20分ほど走り回って帰ってきて、見ても傷口も何ともないし、痛がりもしなかったので、やっと落ち着いたと思いました。ほんまに良かったと。
 これからも毎日乗って、散歩はさせますが、ここ2〜3日か4〜5日ほどは、回数を減らして散歩をさせようと思っています、それからだんだん通常に戻して、今週末には通常の、だいたい1時間に1回程度走っていますから、30分ほど散歩してくれたらええなと考えています」

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(加藤)徐々にね。みわちゃんはそちらの動物園の猿の群れに、今後は入れることになるのですか?

(二本松)「それが1番良いのですが、みわちゃんはオスなのです。11年前に豚と猿が仲が良かったことがありましたが、その猿はメスだったので。エリコといって、今は動物園に隣接している猿ヶ島で2匹目の子どもを育てています。
 それはメスだったのでうまくいきましたが、みわちゃんはオスなので、今、群れに入れたら遊ばれて殺されます。2〜3歳になってしっかりしたら、オスはみんなライバルなので余計にあかんのですわ。ボスもNo.2もみんなでよってたかって、『よそ者』という感じで、殺してしまうのです」

(加藤)なるほど。猿には猿の秩序があって。

(二本松)「はい、ルールがあるのです」

(加藤)つまり群れに入れてしまうと、命の危険があるということなのですね。

(二本松)「100%殺されてしまいます。よそ者ですから、あかんのです。かわいそうですが、うちの動物園の中には入れてやれないのです。本当は自然界に戻るのが筋ですが、これだけ人に慣れてしまうと自然には戻すことができないのです。戻してもどこかの家に『こんにちは』と入っていくので困りますし、うり坊もこれだけ人に慣れてしまうと、自然に戻るのは無理なのです」

(加藤)そういうものなのですね。

(二本松)「両方とも人に慣れたということが、自然界に戻れないということになりますので。かわいそうですがうり坊も、どこかイノシシ牧場かイノシシを何匹か飼っておられる所にもらってくれるように努力をしたり、猿も人に慣れている猿の子どもが欲しいというところを探さないと仕方ないのです」

(加藤)園長は長年、いろいろな動物を見て来られたと思いますが、今回のうり坊君とみわちゃんの大人気ぶりというか、騒動は複雑ですか?

(二本松)「今後のことが本当に困っているのです。せっかく仲の良いうり坊君とみわちゃんですが、今、子どもですから仲良くしているだけのことで、大きくなったら基本的に別の種類同士は無理なのです。いつか、別々にならなしゃあない時が来るのです。
 猿は1歳くらいになれば、小さい子を追いかけて噛むようになる可能性があるのです。イノシシもうちに来たときは2キロくらいの体重が、今は7キロほどに大きくなりましたから」

(加藤)ずいぶんと大きくなったのですね。

(二本松)「リピーターの方が来られて『うわっ!大きくなった』とびっくりするくらい大きくなったのです。このままだと年末には10キロを超えると思います。そうなるとかわいげも飛んでしまいますし、力も強くなりますから。小さいお子さんにどうするかがわからないので」

(加藤)そうですね。そのご心配もありますね。

(二本松)「なんぼかわいいと言っても、けが人を出してしまうと何にもなりませんから。そのあたりが限界なので、今年いっぱいはできると思いますが、来年はわからないですね。

(加藤)なるほど。園長のご苦労やお気持ちが伝わってまいります。

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(加藤)連日、熊による被害をお伝えしているのですが、動物園のある福知山市内でも、高齢の男性が頭を引っかかれて軽い傷を負われるなど本当に頻発しています。そちらの動物園にも生後10ヶ月のツキノワグマが1頭いるということですね。

(二本松)「宮津のほうで、街に入ってきたのを保護されてやってきました。親は山に放されたのですが、子どもを何とかしてほしいと京都府から持ってこられたのです。今1匹、よけているのです」

(加藤)やがては元の場所に戻すということになるのですか?

(二本松)「この熊はだんだん僕らに慣れてきましたから。最初は『ウーウー』と逃げ回っていましたが、今は飼育員が手を出すと小さいすきまの裏から取ってパンを食べますから。これだけ慣れてしまうと野生には戻せないので、京都府から当分の間預かってほしいということですので、これからも預かります」

(加藤)動物園で預かって面倒を見るということになるのですか。一旦、人間の手にかかってしまうと、野生に戻るのは相当難しいことなのですね。

(二本松)「そうですよ。前にいたツキノワグマ“ゴン太”も大江山で保護されて、熊の寿命よりも長く23年間生きて、今年の3月に死んでしまったのです。かわいそうに京都府北部は連山がないので、山の移動ができないのです。
 昔からいる場所がきょうだいや親戚らしいのです。何とか京都府北部で熊を守らなければ、日本には東日本の熊と西日本の熊の2種類がいるということを、西日本の熊が絶滅してしまうと何年か経つと説明しないとわかってもらえなくなるようになるらしいので。
 生きとってくれたらね、山やどこかの施設などで、また相棒ができて生きていける可能性がありますから。殺処分しまうと先がありませんから。
 私らや京都府もどこかでうまいこと生きていける方法を考えていきますし、それができなければこのまま続くんやけれど、生きとったら可能性はゼロではないので。そのつもりで私たちは預かるのです」

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(加藤)なるほど、そのようなことになるのですね。食糧がないということが、人が住んでいるところへ熊が下りてくる要因なのでしょうね。

(二本松)「そのようですね。去年が豊作だったので、豊作と凶作は1年おきに起こるようだということと、ぶな枯れが今、起こってますやろ。どんぐりのなる木が、大木ばかりが枯れていっているのですね。 それからもう1点は、農家が生で食べてもおいしいものを作りますから」

(加藤)熊もおいしいものがわかっていると。

(二本松)「それからハイカーが山で残ったものを捨てて帰る可能性もあるので、いろいろなことで『人間が食べているものがおいしい』ということがわかってきたみたいですね」

(加藤)兵庫県では野生動物の出没に関する警報が出たということです。行楽の秋ということで、私たち一般人も山に入ることが多くなると思いますが、熊と万が一出くわした時に、どうしたら良いと思われますか?

(二本松)「できるだけ音楽や音などいろんなことで、『ここに人間がいる』ということを知らせたほうが安心なのです。熊もイノシシもわざわざケンカをしに襲ってきませんので、急に出くわしたときにどうするかという問題なのです。
 まず音をさせて場所を知らせます。そうすれば離れてくれますが、偶然に出会ったときには、走って逃げると絶対に追いかけてきますし、死んだふりをしてもたたかれるので(危険です)」

(加藤)死んだふりは通用しないですか?

(二本松)「昔から死んだふりをすると良いと言いますが、うそらしいのです。助かった人の話を聞くと、熊をあまり威嚇しない、刺激しないということが基本で、じろじろ見ずに、普通の格好をしてゆっくりゆっくり下がった人だけが助かっているようです」

(加藤)じろじろ見ずにゆっくりと、そっと一歩一歩下がると。

(二本松)「ワーワー言って逆らうと、熊も興奮して襲ってくる可能性がありますから」

(加藤)なるほど。人間がいかに冷静に対応できるかということにかかっていますね。

(二本松)「私もいざ出会ったらどうなるかわかりませんが、まず逆らわずにゆっくり下がれば、熊も下がってくれるらしいので、まずじっとすることです。逃げてしまうと、熊が勝ったと思って追いかけて、襲ってきますから。
 人が木に登っても、熊も登ってきますし、水に飛び込んでも、泳いできます。熊は水も木も怖くないので、助かる方法としては熊をじっと見て、逆らわずにゆっくり下がるのが一番良いということを、専門家は言っています」

(加藤)なるほど、動物の生態をわかって対応するということが、とても大事なのですね。

(二本松)「そうですよ。まず、逆らうということは良いことがありません、興奮させてしまうのでね」

(加藤)熊が大変多く出没していますので、ぜひリスナーのみなさんも気をつけていただきたいと思います。 今、うり坊君とみわちゃんが復活ということで、大変お忙しい中、いろいろなお話をありがとうございました。

(二本松)「ありがとうございます」

(加藤)『復活のロデオ』と報じられていますが、水曜日が福知山市動物園はお休み(ただし11月3日(水・祝)は開園し、4日(木)休園です。仲の良いところをぜひ見に 行っていただければと思います。

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